「相続登記をするのに、戸籍謄本を10通以上集めた。一冊にすると分厚いし、再発行も大変なので原本を返してもらいたい…」
「法務局に相続登記を申請したら『相続関係説明図も添付してください』と言われた。どう書けばいいの?テンプレってある?」
こうした悩みを一気に解決してくれるのが「相続関係説明図」です。
結論からお伝えします。相続関係説明図は「戸籍原本を取り戻すための身分証」。相続登記を申請する際に、戸籍謄本の束と一緒に提出することで、原本を法務局からそのまま返してもらえる仕組みです。これを知らずに戸籍を提出すると、再取得に数千円〜1万円、時間も数週間ロスします。
ただし、よく混同される「法定相続情報一覧図」とはまったく別物。両者の違いを理解しないまま作ると、二度手間や提出ミスにつながります。
この記事では、相続専門の未来相続ナビゲーターが、相続関係説明図の役割・法定相続情報一覧図との違い・書き方・記載例・落とし穴まで完全網羅。読み終えた頃には、自分で15分で作れるようになっているはずです。
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目次
【結論】相続関係説明図を「作る必要がある人」と「ない人」
| 状況 | 相続関係説明図 | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産の相続登記をする+戸籍原本を返してほしい | ✅ 作るべき | 原本還付のために必須 |
| 銀行手続きや相続税申告も多数ある | むしろ 「法定相続情報一覧図」がおすすめ | 1枚で複数機関に使い回せる |
| 不動産がない、相続登記もしない | ❌ 不要 | 使う場面がない |
| すでに法定相続情報一覧図を取った | ❌ 不要 | 一覧図で代用可能 |
つまり、「相続登記だけサクッと済ませたい」人は相続関係説明図、複数手続きがある人は法定相続情報一覧図と使い分けるのが正解です。
相続関係説明図とは?3分でわかる基本
相続関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人の関係を一覧でまとめた家系図のような書類です。法務局に相続登記を申請する際、戸籍謄本の束と一緒に提出します。
正式な役割
法的な定義はなく、あくまで「法務局の登記官が戸籍関係を素早く理解するための補助書類」です。しかし、これを提出することで、相続登記後に戸籍謄本の原本を返却してもらえる「原本還付」という大きなメリットがあります。
原本還付の威力
戸籍謄本(特に被相続人の出生から死亡までの除籍謄本・改製原戸籍など)は、もう一度取得しようとすると以下の負担があります。
- 複数の本籍地の役所で郵送請求 → 1〜3ヶ月
- 1通450〜750円 × 10通以上 → 数千円〜1万円
- 申請書類の作成・郵送費
相続関係説明図を添付するだけで、この負担をすべて回避できるので、相続登記をするなら必ず一緒に提出するのが鉄則です。
【最重要】法定相続情報一覧図との違い|混同しないで!
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は名前も似ていて見た目もそっくり。しかし役割と効力はまったく異なります。ここを混同すると、無駄な手続きを増やしてしまいます。
| 項目 | 相続関係説明図 | 法定相続情報一覧図 |
|---|---|---|
| 作る人 | 申請人が自分で作成 | 申請人が自分で作成 |
| 法務局の認証 | ❌ なし(あくまで私的書類) | ✅ あり(公的書類) |
| 証明力 | なし(補助書類) | あり(戸籍の代わりに使える) |
| 戸籍の代用 | ❌ 不可(戸籍と一緒に提出) | ✅ 可(戸籍束を出さなくて済む) |
| 銀行・税申告で使える? | ❌ 使えない | ✅ 使える |
| 取得にかかる時間 | 即時(自分で作って即提出) | 1〜2週間(法務局の認証待ち) |
| 費用 | 0円(書式は無料) | 0円(戸籍取得費は別) |
| 主な使い道 | 相続登記の戸籍原本還付 | 銀行・税申告・年金など複数手続き |
選び方のシンプル判断基準
- 相続手続きが「相続登記だけ」なら → 相続関係説明図(即作成可・楽)
- 相続手続きが銀行・税申告・複数あるなら → 法定相続情報一覧図(戸籍束の地獄回避)
- 両方欲しい場合 → 法定相続情報一覧図1本でOK(相続登記でも使える)
相続関係説明図の3つの使い道
1. 不動産の相続登記(最も典型的)
法務局に相続登記を申請する際に、戸籍謄本の束と一緒に提出します。これで戸籍原本が返却されます。
2. 預貯金の払戻し手続き(一部の金融機関)
一部の銀行では、相続関係説明図を補助資料として求められる場合があります。ただし、相続関係説明図単体では証明力がないため、戸籍謄本も併せて必要です。
3. 相続人間の話し合いの補助資料
遺産分割協議の場で、相続人の構成を全員で確認するための「家系図」として使われることもあります。
相続関係説明図の書き方|5ステップで完成
STEP 1:必要な情報を集める
まず以下の情報を、戸籍謄本から確認・整理します。
| 対象 | 必要な情報 |
|---|---|
| 被相続人 | 氏名、最後の住所、本籍、生年月日、死亡年月日 |
| 相続人全員 | 氏名、住所、生年月日、被相続人との続柄 |
STEP 2:作成ソフトを選ぶ
WordでもExcelでも、手書きでもOKです。法務局が公式テンプレート(Excel・PDF形式)を無料で公開しているので、これを土台にするのが最速です。
STEP 3:タイトルと被相続人の情報を記載
用紙の上部に「被相続人○○ 相続関係説明図」と大きく書きます。続けて被相続人の以下を記載。
被相続人 山田 太郎 最後の住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 最後の本籍 東京都新宿区西新宿1-2-3 生年月日 昭和20年4月1日 死亡年月日 令和7年3月15日(令和7年3月15日死亡)
STEP 4:相続人を線で結んで配置
被相続人を中心に、相続人を線(=や─など)で結びます。
被相続人 山田 太郎
‖
┌──── 配偶者 山田 花子(相続)
│ 住所・生年月日
│
├──── 長男 山田 一郎(相続)
│ 住所・生年月日
│
└──── 長女 山田 二子(相続)
住所・生年月日
STEP 5:各相続人に「相続」または「分割」と記載
不動産を実際に相続する人には「相続」、相続するけど不動産は取得しない人には「分割」と明記します。これにより、登記官が「誰がその不動産を相続するのか」を一目で把握できます。
記載例|典型的な3パターン
パターンA:配偶者と子2人が相続
被相続人 山田 太郎
‖
┌──── 配偶者 山田 花子(相続)
│
├──── 長男 山田 一郎(相続)
│
└──── 長女 山田 二子(分割)
パターンB:代襲相続あり(孫が代襲)
被相続人 山田 太郎
‖
┌──── 配偶者 山田 花子(相続)
│
├──── 長男 山田 一郎(相続)
│
└──── 次男 山田 二郎(死亡)
│
└──── 孫 山田 三郎(代襲・相続)
住所・生年月日
代襲相続の場合、被代襲者(亡くなった次男)に「(死亡)」と記載し、その下に代襲相続人を配置します。
パターンC:相続放棄者がいる
被相続人 山田 太郎
‖
┌──── 配偶者 山田 花子(相続)
│
├──── 長男 山田 一郎(相続放棄)
│
└──── 長女 山田 二子(相続)
相続放棄をした人は「(相続放棄)」と明記します。実際に相続をしないので、不動産は他の相続人で分割します。なお、相続放棄では代襲相続が発生しないので、長男に子がいても孫は登場しません。
提出方法|法務局に持参 or 郵送
相続関係説明図は、相続登記の申請書類の一部として、以下と一緒に法務局に提出します。
- 登記申請書
- 被相続人の戸籍謄本一式(出生〜死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票・相続人の住民票
- 遺産分割協議書(必要な場合)と全員分の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 相続関係説明図(これ)
申請から完了まで、通常1〜2週間。完了後、戸籍謄本の原本が郵送または窓口で返却されます。
よくある間違い・注意点
1. 住所・本籍を省略しない
「住所は本籍と同じだから省略していい」と思いがちですが、登記官は戸籍と一覧を突き合わせるので、すべての情報を正確に記載しましょう。
2. 続柄は戸籍の通りに書く
「長男」「長女」など、戸籍に記載されている続柄をそのまま使います。「息子」「娘」のような口語表現はNGです。
3. 死亡日・出生日は和暦で統一する
戸籍が和暦で記載されているので、西暦混在を避けて和暦で統一すると見やすくなります。
4. 「相続」「分割」「相続放棄」の表記を必ず入れる
誰が何を相続するかが一目で分からないと、登記官から修正を求められて二度手間になります。
5. 法務局のテンプレートを使うのが最も無難
独自フォーマットでも受理されますが、法務局公式テンプレートを使えば「形式不備で差し戻し」になるリスクがほぼゼロです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続関係説明図に印鑑は必要ですか?
不要です。捺印欄もありません。あくまで補助資料なので、印鑑証明書も求められません。
Q2. 司法書士に頼まないと作れませんか?
いいえ、自分で作成可能です。法務局の公式テンプレートをダウンロードして、戸籍を見ながら埋めれば30分〜1時間で完成します。複雑な家族構成(代襲相続・養子・前妻の子など)が絡む場合は、司法書士に依頼するとミスがありません。
Q3. 手書きでもOKですか?
はい、手書きでも問題ありません。ただし、修正があった場合の対応や、複数の不動産で使い回す可能性を考えると、Word/Excelで作成しておくのがおすすめです。
Q4. 法定相続情報一覧図を作れば、相続関係説明図は不要ですか?
はい、不要です。法定相続情報一覧図は法務局の認証が付いており、相続関係説明図の役割も果たします。複数手続きがある人は、最初から法定相続情報一覧図を作るのが効率的です。
Q5. 養子がいる場合、どう記載すればいい?
「養子」と続柄に明記します。実子と養子で表記を分けることで、登記官が混乱せずに確認できます。
Q6. 海外在住の相続人がいる場合は?
住所欄に海外の住所をそのまま記載します(英語表記でOK)。在留証明書やサイン証明書を別途取得する必要があります。
まとめ|相続登記をするなら必ず一緒に提出
相続関係説明図のポイントを最後に整理します。
- 相続登記の戸籍原本を返してもらうための添付書類
- 法定相続情報一覧図とは別物(一覧図の方が用途は広い)
- 法務局テンプレートでWord/Excelで30分作成可能
- 「相続」「分割」「相続放棄」を必ず明記
- 複数手続きがあるなら、一覧図を取った方が結果的に楽
相続関係説明図は「ちょっとした書類」に見えますが、これを添付するかどうかで戸籍取得の手間と費用が大きく変わります。相続登記を予定している方は、必ず作成して一緒に提出しましょう。
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