勾留質問とは?どのような流れで何を聞かれるのかを解説!

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刑事被疑者として警察に逮捕されてしまったら、その後どのような流れになるのでしょうか?

警察から検察官に送られて、検察官が被疑者の身柄を拘束するために勾留を続けるため勾留請求をすることがありますが、このときに「勾留質問」という手続きが行われることがあります。

そもそも勾留請求とはどのような手続きなのでしょうか?

勾留質問が行われる場合、具体的にどのようなタイミングで誰にどのようなことを聞かれるのかも知っておく必要があります。

勾留質問は、法律に詳しくない人の場合には、ほとんど気づかないままに終わってしまうこともある手続きですが、被疑者の身柄拘束を認めるかどうかの重要な意味を持ちます。

そこで今回は、勾留請求や勾留質問について解説します。

この記事は20171023日に加筆・修正しました。

1.勾留は被疑者の身柄拘束をするための手続き


犯罪の被疑者として嫌疑をかけられると警察に逮捕されてしまうことがあります。

犯罪の嫌疑をかけられている人のことを一般的に容疑者と言うことが多いですが、法律的に正しくは被疑者と言います。

刑事被疑者になって警察に逮捕されると警察から取り調べを受けます。

そして、その後48時間以内に検察官に身柄を送致されるかどうかが決定されます。

微罪の場合などには、検察官に送致されずにそのまま釈放されることもありますが、そうでない場合には検察官に送致されてしまいます。

このことを送検と言い、送検されると検察官からも取り調べを受けます。

その結果、検察官が継続しての身柄拘束が必要だと判断すると検察官は24時間以内に被疑者の身柄拘束を続けるために「勾留」の請求をして決定を得る必要があります。

つまり、犯罪の被疑者となって身柄拘束された場合、逮捕として身柄拘束ができるのは警察での当初の48時間と検察官送致後の24時間の合計72時間までです。

それ以後に被疑者の身柄拘束を続けるためには、逮捕ではなく「勾留」が必要になります。

勾留が認められると被疑者は引き続き警察に留置されて、取り調べを受けたり実況見分を行うなどの捜査機関による捜査を受けることになります。

2.勾留請求とは


刑事手続きで被疑者の身柄拘束を続けるために、勾留請求という手続きが行われることがあります。

勾留手続きとは、検察官が被疑者の身柄拘束を続けるために裁判所に対して勾留決定を求める請求をすることです。

検察官は、警察から被疑者の身柄の送致を受けた後、24時間以内に身柄拘束を続けるか釈放するかを決めないといけません。

ですが、勾留によって身柄拘束を続けて捜査を続行するためには裁判所に勾留決定をしてもらわなければなりません。

そこで、検察官は、被疑者の身柄の引き渡しを受けるとすみやかに勾留請求を行います。

このように、勾留請求を行うのは検察官です。

警察官でも被疑者自身でもなく、また、勾留請求を受けるのは裁判所です。

検察官が勾留請求をする場合、被疑者自身がその申請書類を見ることはありません。

検察官から裁判所に書類が提出されて、その後裁判所が提出された記録にもとづいて被疑者を裁判所に呼び出すことになります。

3.勾留質問とは


刑事手続きに出てくる言葉で「勾留質問」というものがあります。

勾留質問とはどのような手続きなのでしょうか?

被疑者とどのような関係があるものなのかを知っておく必要があります。

勾留質問とは、検察官から裁判所に勾留請求があった後、裁判所が被疑者を裁判所に呼び出して裁判官が直接被疑者に質問をする手続きのことです。

検察官が被疑者の身柄拘束を続けるためには、裁判所に勾留決定をしてもらう必要がありますが、裁判所の方も検察官が提出した記録だけで勾留の是非を判断することはありません。

勾留決定をすると被疑者はみがら拘束が続くので大変な不利益を受けることになります。

このように被疑者に不利益を与える勾留を行う際には、被疑者自身に直接話を聞く手続きをもうける必要があります。それが勾留質問です。

※画像

勾留質問が行われる場所は裁判所です。

よって、検察官からの勾留請求があると被疑者は裁判所に呼び出されます。

被疑者は護送車で裁判所に送られて、裁判官から質問をされます。

勾留質問にかかる時間は各地方や裁判所の運用によっても多少異なりますが、地方部よりも都市部の方が事件の数が多く混み合っているので、長い時間がかかることが多いです。

勾留質問を受ける場合、裁判所に用意された部屋で待機して自分の番が来たら裁判官のいる部屋に入ります。

そこで、裁判官から質問を受けることになります。

このとき、質問を受ける部屋は法廷ではない普通の部屋であり、裁判官も法服ではなくスーツなどを着用していることが普通なので、被疑者としては、それが裁判官であり勾留質問が行われているとは気づかないままに手続きが終わってしまうこともあります。

4.勾留質問で聞かれる内容


裁判所で勾留質問が行われる場合、具体的にはどのようなことを聞かれるのでしょうか?

裁判官から質問をされると聞くといったいどのようなことを聞かれるのかと構えてしまうことが多いですが、勾留質問は実際にはとても簡単な手続きになっています。

具体的には、裁判官が逮捕にかかる被疑事実が記載されている書類を読み上げて「この事実について、言いたいことはありますか?」と聞くだけです。

被疑者としては、逮捕後には警察から逮捕容疑について質問を受けていますしその後検察官からも逮捕容疑について質問を受けているので、勾留質問を受ける場合には、少なくとも3回以上同じ質問をされていることになります。

中でも、裁判官による勾留質問はもっともあっさりとした感じで終わってしまいます。

裁判官からの質問に対して被疑者が被疑事実を認めても認めなくても、裁判官が特に反論してくるなどのことはありません。

そのまま話を聞いて、勾留質問は終わってしまいます。

勾留決定をしたかどうかについても、その場で裁判官が被疑者に通知することはありません。

勾留質問が終わって待合室に戻って待機していると刑務官が、勾留決定があったか却下されたかを知らせてくれます。

多くの場合には勾留決定がなされます。

勾留決定がなされた場合には、後に勾留決定の書類が被疑者に交付されます。

5.接見禁止処分がつけられることがある


刑事事件では、被疑者の身柄拘束中に接見禁止処分がつけられることがあります。

接見禁止処分とは、被疑者が弁護人以外のものと接触することができないという処分のことです。

接見禁止処分がつくと被疑者は弁護人以外の人とは面会できませんし手紙や電報などのやり取りも一切できなくなります。

家族との面会や手紙のやり取りもできなくなるのが普通です。

刑事事件で接見禁止処分がつけられるケースは、共犯者がいるケースなど証拠隠滅の可能性が高い事案です。

裁判所で勾留質問が行われて勾留決定される際には、同時に接見禁止処分の決定もなされることがあります。

6.勾留決定までの流れ


ここで、逮捕後勾留決定がなされるまでの流れを、勾留質問のタイミングも含めてまとめておきます。

警察に逮捕されたら、まずは48時間以内に検察官に送致されます(送検手続き)。

そして、その後24時間以内に検察官が裁判所に対して勾留請求をします。

勾留請求が行われると被疑者が裁判所に呼び出されて、裁判所において勾留質問が行われます。

勾留質問が終わると裁判所で勾留決定が行われて、被疑者の勾留が始まります。

これが、おおまかな勾留決定までの流れです。

また、必要に応じて「逮捕から勾留の流れと残された身内や家族が弁護士を呼ぶタイミングを解説」も併せてご参照ください。

7.勾留請求が却下されることはあるのか?


検察官が裁判所に勾留請求をした場合、その勾留請求が却下されることはあるのでしょうか?

勾留質問の内容によって、勾留請求が却下されるとがあるのかが気になるところです。

この点、残念ながら勾留請求があった場合にそれが却下されることはほとんどありません。

勾留質問の段階では、捜査はほとんどすすんでいませんし、その時点で裁判官が有罪か無罪かの心証をとることはありません。

よって、捜査の必要性があると判断されれば、基本的に勾留請求は認められます。

被疑者が逮捕容疑の事実を否認していたり、一部でも認めていないケースではほとんど確実に勾留決定がなされますし認めているとしてもいったんは勾留決定がなされてしまうことが多いです。

よって勾留質問での答え方によって勾留決定が行われず、身柄が釈放されるということはほとんど期待できません。

ただ、逮捕後速やかに私選弁護人を雇って効果的に弁護活動をしてもらった場合には、まれに勾留決定が却下されるケースもあります。

よって、犯罪の嫌疑をかけられて逮捕されてしまった場合には、早期に腕の良い弁護士に依頼して私選弁護人になってもらうと、早期に身柄解放がなされる可能性が高まります。

8.勾留決定後の身柄拘束期間


いったん裁判所で勾留決定が行われたら、その後はどのくらいの間身柄拘束が行われるのでしょうか?

この場合、まずは10日間の勾留決定が行われます。

よって、原則的には10日間身柄拘束をされて、その間に警察や検察からの取り調べを受けることになります。

ただ、勾留期間については、さらに10日間延長することができます。

10日間で捜査が終わらず十分な証拠が集まらない場合などには、勾留が延長されることが多いです。

勾留延長の手続きも認められることがほとんどですので、勾留延長の請求があれば、たいていは延長されてしまいます。

すると、勾留期間は合計で20日になります。

それ以上に再度勾留延長をすることはできないので、起訴前の勾留期間は最大でも20日になります。

20日が経過した時点で検察官がその被疑者を起訴するかどうかを決めます。

起訴されたら刑事裁判にかけられて裁判所によって有罪か無罪かの判断を受けることになりますし、起訴されなければ、勾留期間が切れた時点で釈放されることになります。

刑事裁判になった後も起訴後の勾留が継続しますが、刑事裁判が始まって被告人の立場になったら、保釈申請ができるようになります。

保釈が認められれば、刑事裁判が終わるまでの間は一時的に社会生活を送ることができます。

まとめ

今回は、刑事事件で問題になる勾留請求や勾留質問について解説しました。

犯罪の嫌疑をかけられたら、警察での逮捕後検察官に送致されます。

検察官は、身柄拘束が必要だと判断すると、裁判所に対して勾留請求をします。

勾留請求を受けると、裁判所は被疑者を裁判所に呼び出して勾留質問をします。

勾留質問は、淡々とした手続きなので、被疑者としてはそれが勾留質問だとは気づかないこともあります。

勾留質問での答え方によって勾留が却下されることはほとんどありません。

勾留請求が却下されるためには、早期に腕の良い私選弁護人を依頼することが効果的です。

いったん勾留決定がなされると、その後長期間身柄拘束されることになります。

今回の記事を参考にして、身柄拘束された場合にはその後の手続きの流れを正しく理解して、適切に対処しましょう。

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