離婚の手続きの種類は?協議離婚届の書き方も解説!

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離婚の手続きにはどのような種類があり、どのように進めるのでしょうか

最初は一生添い遂げようと考えて結婚した夫婦でも、不仲になるなどして離婚するケースがあります。

離婚する場合には、協議離婚や調停離婚、裁判離婚など、いくつかの手続の種類があります。今回は、離婚の手続きの種類とそれぞれの手続の進め方についてご説明いたします。

また、離婚手続の中でももっともポピュラーな方法である協議離婚では、協議離婚届を書かなければなりませんが、協議離婚届の書き方なども知っておきましょう。

離婚の際に取り決めておいた方が良い内容なども知っておくと役に立ちます。

この記事では協議離婚届の書き方などについても解説します。

1.4種類の離婚の手続き

結婚は簡単ですが、離婚はその何倍も難しいということは、よく言われていることです。
実際に、離婚問題が発生すると、どのように対応すれば良いかわからずに悩んでしまうことが多いです。

離婚の手続方法は、どのように進めれば良いのでしょうか。
実は、離婚手続には4種類があります。

それは、

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚

です。

以下では、それぞれについて順番にご説明いたします。

2.協議離婚

(1)協議離婚とは

これは、夫と妻が離婚に関して話し合って、「協議離婚届」を市町村役場に届け出ることによって離婚を行う手続です。

協議離婚は、4種類の離婚手続のうちもっとも頻繁に利用されている方法です。
離婚する夫婦の8割以上が協議離婚であるとも言われています。

協議離婚を行う場合、夫と妻の両方が離婚に対して同意が必要です。
また、協議離婚届には子の親権者を記載しなくてはいけません。

(2)協議離婚前に決めておくべき事項

基本的に両者が離婚に同意すれば手続が行えます。
よって、細かい離婚条件について取り決めておく必要はありません。

しかし、実際には協議離婚する場合であっても、離婚条件について取り決めをしておくべきです。
たとえば子どもの養育費や財産分与、慰謝料、子どもとの面会交流などについてです。

これらについての取り決めをしておかないと、離婚後養育費調停や財産分与調停、慰謝料請求の裁判などが起こって、結局トラブルになってしまうことがあります。

協議離婚の際に取り決めておいた方がよい内容は、以下のとおりです。

①子どもの養育費

子どもの養育費は、親権者となった親に対して親権者にならなかった親が支払う子どものための費用です。

月々数万円ずつ支払うことになります。養育費については、夫婦が自由に定めることが出来ますが、もし話し合いで決めるのが難しい場合には、裁判所の基準があるので、利用すると良いでしょう。

養育費算定表は、「裁判所のホームページ」上に記載があります。

なお、養育費の算定方法について詳しくは「できればたくさんもらいたい! 養育費の相場と計算方法」の記事をご参照下さい。

②財産分与

離婚する場合に、その夫と妻の間に共有財産があれば財産分与が出来ます。
財産分与に関しては、婚姻生活中に夫と妻の両者が貯蓄した財産を妻と夫の両者で分割する手続です。

財産分与の対象になるのはたとえば預貯金や生命保険、不動産や株式などのあらゆる財産です。

ただ、婚姻生活中に貯蓄した物でなければいけません。
片方が独身だった頃から所持していた財産や両者の片方の親が持っている遺産は財産分与の対象外になります。

財産分与の割合は、原則として夫婦が2分の1ずつになります。

③慰謝料

夫婦のどちらかに離婚原因がある場合には、責任のない方の当事者は相手方に対し、金銭の支払いを要求することが可能です。

たとえば夫が不貞行為を行ったことが離婚原因の場合は、夫に対して慰謝料請求をすることが可能です。

慰謝料の金額は夫婦が話し合いで決定することが出来ますが、その問題となる行為の内容などによって、異なる金額の相場があります。

離婚時の慰謝料について詳しくは「離婚で慰謝料請求できるのはどんな場合?金額の相場や請求方法」をご参照下さい。

④面会交流権

夫と妻の間に未成年の子どもが存在する場合、「親権者(監護者)」ではない方の親と子どもの「面会交流権」を決めておきましょう。

面会交流権に関しては、別々に暮らして居る親と子どもが面会を行える権利です。
基本的に、夫と妻で話し合って決めることになります。

たとえば月1回でも週1回でも良いですし、宿泊を伴う面会でも一回2時間の面会でも大丈夫です。

面会交流権は、子どもの健全な成長のためにも非常に重要ですので、出来るだけ子どもの状態や希望にも配慮して定めましょう。

(3)離婚協議書を作る

協議離婚書に関しては、夫と妻で協議した条件を書き記した書類です。

せっかく協議をして決定したとしても、書類にしておかなかったら、後になって「そんなことは約束していない。」と言われて反故にされてしまうおそれなどもありますので、協議離婚書という書類に残しておくことが非常に重要です。

協議離婚書を作成する場合には、基本的に取り決めた離婚条件の内容を箇条書きにしていき、協議書を作成した日付を入れて、当事者双方の署名押印をしておけばできあがります。

離婚協議書の作り方の詳細は「離婚することが決まったら!離婚協議書の書き方と公正証書にする方法」をご参照下さい。

(4)公正証書にする

「協議離婚書」を準備した場合、基本的に公正証書にしましょう。
公正証書に関しては、公証役場で公証人が立ち会いのもとに作成出来る公文書です。

離婚協議書を公正証書にしておくと、その原本が公証役場に保管されますので、紛失のおそれもありません。

また、公証人が関与して本人確認などもきちんとした上で作成するので偽造などの問題もほとんどなくなるので、後から「そんな書類は作っていない。」「自分は署名していない」などと言われるおそれもなくなります。

さらに、強制執行認諾条項をつけておけば、相手方が養育費や財産分与、慰謝料などの支払いをしなかった場合に、すぐに相手方の給料などの財産を差し押さえることが出来るのでとても便利です。

公正証書を作りたい場合には、公証役場に行って取り決めた離婚条件を伝えて公正証書作成の申込みをします。

そして、戸籍謄本などの必要書類を揃えて、夫婦で公証役場に行って、できあがった公正証書に署名押印すれば手続が出来ます。

(5)離婚届の書き方

協議離婚する場合には、協議離婚届を作成しないといけません。
協議離婚届の書き方は、どのようにすれば良いのでしょうか。

協議離婚届を作成する場合、まずは市町村役場で離婚届の用紙をもらってこなければなりません。

①誰が書いても良い箇所

まずは用紙の左側を見ましょう。
夫婦それぞれの氏名と住所、生年月日を書く欄があるので、ここを記載します。

住所は住民登録している住所です。戸籍の筆頭者は、結婚したときに自分の名字にした方の当事者名を書きます。

そして、それぞれの当事者の両親の名前を書き入れます。
さらに、離婚の種類は協議離婚を選んでチェックします。

その下に、「婚姻前の氏に戻る場合」という記載があります。

結婚して名字が変更した方の当事者が、結婚前の名字に戻る場合、もとの実家の戸籍に戻るか自分の新しい戸籍を作るかを選ぶことができることによります。

もし実家の戸籍に戻るなら「もとの戸籍に戻る」の方にチェックを入れますし、自分だけの新しい戸籍を作る場合には、「新しい戸籍を作る」の方にチェックを入れます。

実家の戸籍に戻る場合には、本籍地の記入が必須です。
さらに、子どもの名前と離婚後の親権者を書き入れます。

夫婦の同居期間を書く欄があるので、だいたいでかまわないので同居期間を記入し、別居前の住所を記載します。

そして、別居前の世帯主の職業を選択します。
ここまでの記載については、誰が書いてもかまいません。

よく、ここまでの記載についても、夫婦それぞれが自分にかかわる内容の記載をしなければならないと思っている人がいますが、離婚届けで夫婦の自書が必要になる部分は、さほど多くはないのです。

②夫婦の署名押印が必要な箇所

夫婦それぞれの署名押印が必要になるのは、離婚届けの左側、一番下の欄の署名押印欄です。

ここには、夫婦がそれぞれ自分で署名押印する必要があります。
もし夫婦の署名や押印がなかったら、その離婚届けは無効になる可能性があります。

そして、このときに利用する夫婦の印鑑は、異なるものを利用します。
異なるものであれば、実印である必要はなく認印でも可能です。

このときに記載する名字は、婚姻時に利用していたものを記載します。
さらに、離婚届けの左側の欄外真ん中のあたりに、捨て印を押すスペースがあります。

よって、離婚届けの一番下の署名押印欄に使ったのと同じ印鑑で、夫婦それぞれが捨て印を押しておきましょう。

ここまで書けたら離婚届けはほとんど完成です。

③証人2名が必要

あとは、右側の証人欄です。離婚届けには証人2名が必要です。

証人は、誰でも良いです。夫婦の親や兄弟姉妹、親戚でも良いですし、友人知人でもかまいません。

離婚手続を相談したり依頼していた弁護士などの第三者に証人になってもらうことも可能です。
ただし、証人は20歳以上である必要があります。

ともかく2人の証人が必要になるので、誰かを探してきて証人欄に署名押印してもらいましょう。
このときの印鑑も、特に実印である必要はありません。

離婚届の書き方について詳しくは「これで安心!失敗しない離婚届の書き方」の記事をご参照下さい。

(6)離婚届を出されたくない場合

協議離婚届は、誰でも提出することが出来ます。
また、自署が必要とは言っても、署名押印を偽造されて勝手に作成されることがあります。

よって、自分が離婚を望んでいない場合にも、勝手に離婚届を提出されてしまうことがあります。

また、子どもの親権者について争いがある場合にも、離婚届の親権者欄を勝手に記載されて、離婚届を提出されてしまうおそれがあります。

このように離婚届を勝手に提出されると、後にその離婚の無効を裁判所で争わなければならなくなって、非常に大変です。

そこで、協議離婚届を提出出来ないようにする手続があります。
それは、離婚届けの不受理願いという手続です。

離婚届の不受理願いを出しておけば、自分以外の者が離婚届けをもってきても、役所が受け付けをしないようになります。

離婚届不受理願いをするには、市町村役場に行って戸籍課や市民課などに行けば、手続きができます。

離婚をするかしないかでもめていたり(自分が離婚したくない側である場合)、子どもの親権者について夫婦で争っている場合などには、念のために離婚届不受理願いを出しておいた方が良いでしょう。

離婚届の不受理申出について詳しくは「知らない間に離婚?―先手を打つ「離婚不受理申出」とは?」の記事をご参照下さい。

3.調停離婚

(1)調停離婚とは

調停離婚に関しては、家庭裁判所を用いて離婚問題に関して話し合って離婚手続を行うことです。

夫婦が自分たちで話し合って協議離婚が出来れば良いですが、自分たちだけで話し去っていると、双方に折り合いがつかず、離婚条件が決められないことがあります。

また、相手方が家を出て行って音信不通になっており、連絡がとれないので協議が進められない場合などもあります。

上記の場合は、協議離婚を行うことができません。
ですので、「調停離婚」を行うべきと伝えます。

基本的に調停離婚を行うには、離婚調停を家庭裁判所に対して申し立てを行う必要があります。

調停離婚を行うときは、家庭裁判所に所属している調停委員2名が夫と妻の両者の間に立ってくれます。

そこで、協議の仲介を行ってもらえるので、夫と妻達だけで協議すると感情的になって協議がうまく出来なかった場合などにも離婚の協議がスムーズにすすむことが多いです。

(2)調停離婚の申立て方法

調停離婚を利用したい場合には、家庭裁判所で離婚調停を申立てなければなりません。

離婚調停を家庭裁判所へ申立てる場合、相手が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所に対して申立の手続を行います。

家庭裁判所に調停申立書の書式があるので、それを利用して順番に記載していけば、書類は完成します。

調停申立書に書く内容は、自分と相手の氏名、住所、生年月日、本籍地などと、離婚の際に取り決めたい内容、離婚したい理由などです。

それほど難しくないので、弁護士に依頼しなくても自分でも手続きが出来ます。

また、家庭裁判所に行くと、家事相談といって調停の申立方法などについての手続の説明を受けることもできます。

離婚調停を申し立てたい場合には、できあがった調停申立書と戸籍謄本があれば基本的に手続できます。

たとえば調停の参考にしてほしい資料などがあれば、そのコピーを添付しておくと話がスムーズにすすむこともあります。

また、調停を申し立てる際には、数千円の収入印紙と郵便切手もかかります。

それぞれいくらかかるかについては、裁判所の担当員に確認して、必要な分を買っておさめると良いでしょう。

調停を申し立てると、自宅宛に離婚調停期日への呼び出し状が届きます。
だいたい1ヶ月後くらいに調停の第一回期日が開かれます。

(3)調停離婚の進み方

申し立て後の離婚調停の手続はどのように進んでいくのでしょうか。

基本的に、裁判所の調停委員が夫と妻の間に立ってもらえます。
ですので、相手と直接対面することはないです。

相手に伝えたいことや、相手方の希望事項については調停委員に伝えたり、伝え聞くことになります。

そして、それに対する自分の希望を調停委員に伝えて、話し合いを進めていきます。

よって、夫婦だけではすすまなかった話し合いが、調停委員の介在によってスムーズにすすむことがあります。

また、離婚調停には調停委員だけではなく裁判官も関与します。
裁判官は、法律のプロとして、適正な離婚条件の定め方などについても熟知しています。

よって、調停で離婚する場合には、相場からかけ離れたような不適切な条件での離婚になることはありません。

だいたい裁判になったらどのような結果になるのかという観点から、適正な内容で離婚条件を取り決めることが出来ます。

離婚調停は、だいたい月1回ずつ期日が開かれて、夫婦での話し合いが継続していきます。

このようにして、夫婦が調停離婚に納得したら、調停調書が作られます。

調停成立後、調停調書が自宅に送られてくるので、それを市町村役場に持参して必要書類を記載すれば離婚届けが出来ます。

このとき、役所に調停調書を持っていくのは夫婦の一方で良く、離婚届けにも相手方の署名は要りません。

(4)調停離婚を利用すべき場合

離婚手続の中でも調停離婚を利用すべき場合とは、どのような場合なのでしょうか。

まずは、協議離婚の話し合いが出来ない場合です。
たとえば夫婦で話し合いをしてもお互いが譲らず、話し合いがつかない場合があります。

「財産分与」や「金銭の金額」、「子どもの親権者」に関して協議がまとまらない場合がほとんどです。
次に相手方と連絡が取れない場合です。

離婚の話し合いをしようとしても相手方が完全に無視をしている場合などには協議離婚は出来ないので、調停離婚をする必要があります。

さらに、DV事案などで、相手方と連絡をとることが危険な場合などです。
この場合、協議離婚の話し合いを持ちかけると、当方が暴力を受けて被害を受ける可能性があります。

このような場合にも、離婚調停を利用して、相手方と顔を合わさずに離婚する方法が有効です。
モラハラなどの事案で、相手方とのまともな話し合いが難しい場合などにも調停離婚が向いています。

調停離婚について詳しくは「弁護士なしで離婚調停を進めるために知っておくべき8つのこと」の記事をご参照下さい。

4.審判離婚

(1)審判離婚とは

裁判所の裁判官が夫と妻の離婚と離婚条件を審判によって決定してしまう手続です。

夫と妻が離婚調停の協議を行ってきて、だいたいの離婚条件についてまとまってのに、離婚問題とは直接関係のない細かい点などが問題になって調停が成立しない場合など、離婚自体ができないとなると、かえって夫婦にとって不利益になることがあります。

些末な内容で離婚出来なかったために、結局は手間も時間も膨大にかかる離婚訴訟(裁判)が必要になってしまう可能性もありますし、裁判しない場合には、そのまま中途半端な別居状態が続いてしまうことにもなります。

よって、このような無駄な状態が発生することを防ぐために、審判離婚が行われます。

審判離婚が行われる場合には、裁判官が審判によって離婚と離婚条件を定めます。
そして、審判が行われると、その内容を記載した審判書という書類が夫婦の双方に郵便で送られてきます。

夫婦のそれぞれは、この審判の内容に不服があると、異議を申し立てることが可能です。

夫婦のどちらかから異議が出ると、審判の内容は効力を失いますので、もし離婚手続をすすめたい場合には、離婚訴訟などを利用しなければならなくなります。

異議申し立て期間は審判後2週間なので、もし審判内容に問題があると感じたなら、早めに異議を申し立てる必要があります。

異議の内容や理由については特に決まりはないので、「納得できない」などの記載をしていれば足ります。

(2)審判離婚が行われる場合

審判離婚が行われるケースは、実はとても少ないです。

具体的には以下のような場合です。

  • 離婚調停を進めてきて条件に折り合いはついているが、最終的に相手方が調停期日に来られなくなってしまった場合
  • 離婚調停を進めてきて条件に折り合いがついていたのに、相手方が突然調停に来なくなった場合
  • 離婚調停を進めてきて離婚条件に折り合いがついているにもかかわらず、当事者が離婚とは直接無関係な些末なことにこだわって合意に至らない場合

このように、審判離婚が認められるためには、「夫婦が離婚そのものには同意している」ことが大前提になります。

また、審判離婚が行われるのは、上記のように極めて限定されたケースです。

実際の場面で審判離婚手続によって離婚する夫婦はあまりいない、レアケースであると覚えておくと良いでしょう。

5.裁判離婚

(1)裁判離婚とは

離婚手続の種類には、裁判離婚(訴訟による離婚)があります。
裁判離婚に関しては、「離婚訴訟手続」を使って離婚を行う方法です。

離婚調停を行い調停委員や裁判官を通して協議を行っても、夫と妻が離婚や離婚条件に関してまとまらない場合、それ以上話し合いでは解決できないので、裁判によって離婚しなければなりません。

この場合の離婚が裁判離婚です。

離婚訴訟では、離婚するかどうかということや、離婚条件について、裁判官が判決によって決定してしまいます。

控訴などは出来ますが、裁判所の判決は最終的なものになり、他の機関に異議を申し出ることなどは出来ません。

話し合いの手続ではないので、自分が納得できない内容の判決が出ることもあります。

裁判では、当事者の主張と証拠によって手続きを進めます。
よって、証拠の存在が非常に重要になります。

(2)裁判離婚の申立方法

裁判離婚したい場合には、家庭裁判所に対して離婚訴訟を申立てる必要があります。

離婚訴訟を申立てるには、家庭裁判所に対して訴状という書類と、戸籍謄本などの添付書類、証拠類をつけて提出することによって行います。

離婚訴訟を申立てる際には、数万円の収入印紙と、数千円の郵便切手が必要になります。
収入印紙や郵便切手の金額は、事案の内容や利用する裁判所によって異なります。

訴状を提出して申立てが済むと、後日裁判所から第一回期日についての呼び出し状が届きます。
その期日に出頭するところから始まって、離婚訴訟の手続が進んでいくことになります。

ただ、離婚訴訟をする場合、弁護士に依頼することが一般的です。

手続を弁護士に依頼した場合には、訴状の作成や必要書類の収集、証拠の提出などの申立手続きはすべて弁護士がしてくれるので、依頼者は戸籍謄本を渡すくらいで、その他は特に何もする必要はありません。

また、弁護士に依頼した場合には、手続きのほとんどを弁護士がしてくれるので、依頼者はいちいち期日に出頭する必要もありません。

(3)裁判離婚の進み方

裁判離婚をするために離婚訴訟を起こした場合、だいたい月に1回程度、裁判の期日が開かれて審理が行われます。
裁判の期日には、当事者それぞれの主張や証拠を整理していきます。

このときに主張する内容や、それを証明するための証拠によって、自分の主張が通るかどうかが変わってきます。

よって、離婚訴訟を起こす場合には、自分が有利になるための証拠を集めておくことが大変重要になります。

たとえば親権がほしい場合などには、自分が今までどれだけ育児に積極的に関わってきたのかを示すために、母子手帳や子どもについての日記、学校や幼稚園とのやり取りの記録、連絡帳、子どもと一緒に写っている写真なども証拠になります。

不貞の証拠としては、興信所に依頼して入手した報告書や、浮気の証拠写真、メールなどが証拠になります。

財産分与を主張したい場合には、各財産の存在を示す資料として、たとえば預貯金通帳や生命保険証書の写し、解約返戻金証明書、不動産登記簿などの資料が必要になります。

また、裁判離婚を行う場合、最終場面において「当事者双方の証人尋問」をやります。
このときに、きちんと自分の主張に沿った証言が出来るかどうかも非常に重要です。

これらの手続がすべて終わったら、裁判所によって判決がなされます。
判決書は、裁判所から郵送してくるので、受け取ったらどのような内容になっているかを確認しましょう。

また、裁判手続は非常に複雑で専門的です。適切に対応しないと自分が不利益を受けてしまいます。

ですので、離婚訴訟を利用して裁判離婚を行う場合、弁護士に手続きを依頼しなくてはいけません。

(4)裁判離婚の注意点

裁判離婚をする場合には、いくつか注意点があります。

まず、裁判離婚するための離婚訴訟には非常に時間と費用がかかります。
離婚訴訟にかかる期間は、平均して第一審(原審)だけで8ヶ月程度もかかります。

もし原審に不服があって、高等裁判所に控訴したら、それよりさらに長い時間がかかってしまいます。
早く離婚したいと思っていても、裁判が終わるまでは離婚できないことになります。

また、離婚訴訟には費用もかかります。
裁判費用(実費)だけなら数万円程度ですが、離婚訴訟を有利にすすめるためには弁護士に依頼することがほとんど必須です。

弁護士に依頼すると、「数十万円単位」の弁護士費用が必要です。
弁護士費用に関しては、分割払いや法テラスの立替払い制度を使うことが可能です。

また、裁判離婚をした場合には、離婚後の戸籍において「裁判離婚」と書かれることになります。

このことによって、たとえば再婚する場合などに、再婚相手に「以前裁判までして争った上で離婚した人だ」と思われてしまう可能性があります。

このことを気にしない人もいますが、気にする人もいるので注意が必要です。

裁判離婚について詳しくは「離婚裁判で望ましい結果を得るために知っておきたい8つのこと」の記事をご参照下さい。

6.離婚の手続きに関するまとめ

今回は、離婚の手続の種類と内容、協議離婚届の書き方などについてご説明致しました。

離婚には「協議離婚」、「調停離婚」、「審判離婚」、「裁判離婚」の4種類があります。
なかでも「協議離婚」が一番多く一般的です。

協議離婚が出来ない場合、「調停離婚」を使います。

調停離婚に関しては、家庭裁判所の調停委員や裁判官が夫婦の間に立って協議を行うので、手続がスムーズになります。

審判離婚は、夫婦が離婚そのものについては合意している場合に、裁判官が離婚と離婚条件について審判で決定してしまう離婚手続ですが、実際にはあまり多く利用されていません。

調停で同意することが無理な場合、「裁判離婚」を行います。

裁判離婚に関しては、家庭裁判所で離婚訴訟を申し立てることによって、裁判官に判決で離婚条件を決めてもらう手続です。

離婚訴訟をする場合には弁護士に依頼することがほとんど必須になり、期間も費用も長くかかることなどに注意が必要です。

現在離婚問題で悩んでいる方は、今回の記事を参考にして、自分に有利になるように適切な方法で離婚手続きを進めていくようにしましょう。

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