罹災証明書とは?もしもに備えて知っておきたい利用方法と申請方法

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罹災証明書

地震被害や台風、津波などの自然災害や火災によって被害を受けることがあります。

このような自然災害などの被害に遭って住居が損壊してしまった場合、罹災証明書という証明書を取得することができます。また、罹災証明書と似たもので、被災証明書という証明書もあります。

これらの罹災証明書や被災証明書は、どのような書類なのでしょうか。それぞれの違いや、証明書が発行されたらどのような利用方法があるのか、さらには申請方法なども知っておく必要があります。

今回は、災害被害に遭った場合の罹災証明書と被災証明書について解説します。

1、罹災証明書とは

(1)罹災証明書について

まず、罹災証明書(り災証明書)とは何をどのように証明するための証明書なのでしょうか。

罹災証明書とは、地震や台風、津波などの天災や火災などの災害によって、住居が被害を受けた場合に、その被害の程度に応じて自治体が被害認定して発行してくれる証明書のことです。地震や大雨などの自然災害の場合には、罹災証明書は市町村役場などの自治体が発行しますし、火災被害の場合には、消防署が発行します。

(2)罹災証明書では、被害の程度が証明される

罹災証明書の発行を受けると、自治体から被害の程度についての認定を受けることができます。

被害の程度については、以下のとおりの基準が定められています。

全壊 ・住居全体が損壊、焼失、流出などした場合で、住居を補修しても二度と住めない場合

・住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が50%以上

大規模半壊 ・住居の一部が損壊、焼失、流出などしたが、修理をすれば元通りに住むことができる場合。損壊、焼失、流出などした割合いが半壊より高く、修理費用が高くなるもの

・住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が40%以上50%未満

半壊 ・住居の一部が損壊、焼失、流出などしたが、修理をすれば元通りに住むことができる場合

・住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が20%以上40%未満

一部損壊 ・住居の一部が損害を受けたが、損害内容が軽微で「半壊」に至らない程度であり、補修すべき場合

・住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が20%未満

これらの被害の程度によって、受けられる支援内容が変わってくることがあります。

どのような支援があるかは、各自治体によって異なりますが、たとえば、横浜市の場合には、罹災証明書に記載された被害の程度に応じて次のような支援額となっています。

住宅の被害程度 全壊 解体 長期避難 大規模半壊
支給額 100万円 100万円 100万円 50万円

上記によると、住居が全壊した場合には100万円の支援が受けられますが、大規模半壊の場合には、50万円の支援額になってしまいます(ただし、「半壊」の場合であっても、住居を解体した場合には支給額は100万円)。

このように、罹災証明書の「被害の程度」は、災害に遭った後の支援内容に大きな影響を及ぼすことになります。

2、罹災証明書と被災証明書の違い

(1)証明する事実が異なる

罹災証明書に類似した証明書として、被災証明書があります。被災証明書とはどのようなものなのでしょうか。また、罹災証明書との違いはあるのでしょうか。

被災証明書は、その人が災害による被害を受けたという事実そのものを証明するための証明書です。

罹災証明書が家(住居)の被害やその被害の程度を証明するのに対して、被災証明書はある人が災害によって被害を受けた事実自体を証明する点が最も大きな違いです。

車や家財などの動産が災害による被害を受けた場合には、罹災証明書ではなく被災証明書によって被害を証明することができます。

このように、罹災証明書と被災証明書とでは、証明する事実に大きな違いがあります。

(2)被害の程度が問題にならない

被災証明書では、罹災証明書と違って、被害の程度の認定はありません。被災証明書は、被害を受けたかどうかだけを証明するものであって、どの程度の被害を受けたかどうかは問題にならないのです。これに対して罹災証明書では、被害を受けたことだけではなくその被害の程度も問題になります。このように、被害の程度が問題になるかどうかという点も、罹災証明書と被災証明書の大きな違いとなります。

(3)証明書が発行されるまでの日数

被災証明書は、申請すればその日に発行してもらえます。

被災証明書を申請する場合には、自治体によってもその方法が異なりますが、たとえば停電や断水などの状況を証明すれば発行してもらえることもありますし、車や家財などが損壊していれば証明書の発行が受けられる場合などもあります。

これに対して、罹災証明書の場合には、4.の項目で詳しく説明しますが、発行までに少なくとも1週間はかかることが普通です。このように、罹災証明書と被災証明書とでは、申請してから証明書が発行されるまでの日数も大きく異なります。

(4)その他の罹災証明書と被災証明書の違い

罹災証明書はどの自治体でも発行されますが、被災証明書は、自治体によってはないところもあります。この場合には、罹災証明書が被災証明書の役割も兼ねることが普通です。

さらに、火災に遭った場合の罹災証明書は消防局で発行されますが、被災証明書は消防局では発行されません。以上のように、罹災証明書と被災証明書は、名前はよく似ていますが、その内容は全く異なるものです。混同しないように覚えておきましょう。

3、罹災証明書が発行される場合

次に、罹災証明書がどのような場合に発行されるのかについて説明します。

これについては、2つのパターンがあります。

1つ目は、住居が火災被害に遭った場合です。

もう1つは、住居が地震や大雨、台風や津波などの災害被害に遭った場合です。

この2つのどちらに該当するかによって、罹災証明書の申請先が異なるので注意が必要です。

火災被害に遭った場合には申請先は消防署になりますが、地震や台風、津波などの災害による被害に遭った場合には、罹災証明書の申請先は市町村などの自治体になります。

罹災証明書の申請をすると、専門の調査員が住居の場所を訪れて、現地調査をした上で住居の被害の程度を認定します。

被害の程度が認定されたら、罹災証明書が発行されます。

4、罹災証明書が発行されるまでの期間

罹災証明書の発行を申請してから実際に証明書が発行されるまでの期間は、各自治体や被害の状況によっても異なりますが、少なくとも1週間以上の期間がかかることがほとんどです。大規模地震などの大災害が起こって罹災証明書の発行依頼が殺到した場合などには、発行までの期間が大幅に伸びるケースがあります。また、被害程度の調査について再調査を行った場合にも発行にかかる期間が長引きます。このような場合、証明書の発行までにかかる期間が1ヶ月以上になってしまうケースもあります。

5、罹災届出証明書の活用方法

罹災証明書の申請をしても、認定までに期間がかかるので、すぐに発行を受けることができません。しかし、罹災証明書を利用して支援金や保険金などの申請を早めに行いたいケースがあります。

この場合には、罹災届出証明書を利用する方法が効果的です。

罹災届出証明書とは、正式に罹災証明書が発行されるまでの期間、罹災証明書の代わりに利用出来る証明書です。具体的には、「現在罹災証明書を発行申請しています」ということを証明するための書類です。罹災届出証明書が発行されているということは、近いうちに罹災証明書が発行される可能性が高いことになります。

よって、各場面において罹災届出証明書を罹災証明書の代わりに利用出来るのです。

罹災届出証明書は、罹災証明書の申請をすればその日にすぐに発行してもらえます。

罹災届出証明書を提示すると、支援金などの公的支援が受けられることがあるので、活用すると良いでしょう。

6、罹災証明書の申請方法

(1)罹災証明書の申請先

罹災証明書の申請をする場合、まずは罹災証明書の申請用紙を入手する必要があります。

申請用紙は、罹災証明書の申請先の消防署や自治体でもらうか、ネット上でダウンロードしましょう。

火災被害に遭った場合には消防署から用紙をもらいますし、地震などの自然災害の場合には自治体から用紙をもらいます。

申請用紙は各自治体のよって異なりますが、罹災証明書によって証明される被害の程度やその認定基準は全国どこでも同じです。

(2)罹災証明書の申請書の書き方

罹災証明書の申請書は、どのように書けばよいのでしょうか。

これについては、各市町村によって少しずつ異なる書式になっているので、その書式に従って記入していくことになります。

ただ、だいたいの場合において、以下のような内容を記入することが必要です。

  • 罹災証明書を申請する人の氏名や住所、電話番号
  • 罹災証明書を申請する対象となる住居の所在地
  • 罹災した年月日
  • 罹災した住居の被害の状況

また、罹災証明書の使用目的(たとえば保険金の請求や各種の控除手続き、登記手続きなど)や必要数なども記入する欄が設けられていることが多いです。

代理人に罹災証明書の申請を依頼する場合には、委任状の提出が必要になりますし、代理人と本人の関係なども説明する必要があります。

罹災証明書の申請をする場合には、運転免許証などの本人確認書類が必要になることも多いです。また、自治体によっては、罹災した住居の現況写真を提出することが必要なケースもあります。

特に、被害の程度が「一部損壊」の場合や大災害などで現地調査員が足りない場合などには、現地調査をせずに現況写真のみをもって被害の程度を認定することもあります。

よって、罹災証明書の発行申請をする場合には、罹災した建物の現況写真を撮っておくようにしましょう。

7、罹災証明書の申請から認定までの流れ

罹災証明書の発行を申請してから被害の認定を受けて、実際に罹災証明書が発行されるまでの流れはどのようになるのでしょうか。以下で順番に確認してみましょう。

(1)罹災証明書の発行申請をする

まずは、罹災証明書を発行申請するところから始まります。

火災被害の場合には消防署に申請しますし、それ以外の地震などの自然災害の場合には市町村役場に申請を行います。

原則として本人が自分の身分証明書を提示して申請する必要がありますが、どうしても本人が申請出来ない場合には代理人が申請することも可能です。

代理人になることができるのは、罹災した人と世帯が同じ人や、罹災した法人の社員、罹災者から委任を受けた人、罹災した人の親族や法定代理人です。

罹災証明書の申請の際に現況写真が必要になるケースもあるので、事前に自治体に問い合わせて写真が必要かどうかを確認しておきましょう。

罹災証明書の発行を申請すると、罹災届出証明書が発行してもらえますが、これは罹災証明書の代わりに利用出来ることがあるので、発行してもらっておきましょう。

(2)専門の調査員による現況調査

罹災証明書の発行を申請すると、被害の程度の認定のため、専門の調査員が現地を訪れて現況調査を行います。

現況調査を行う調査員は、自治体によって認定を受けた建築士です。

現況調査の方法は国が定めているので、各自治体によって違いはありません。

(3)地震被害の現況調査

地震被害の遭った場合の現況調査は、第1次調査と第2次調査があります。

第1次調査では、調査員が被害住居のある場所に行って外観を確認する調査(外観調査)を行います。

外観をざっと確認した後、住居の傾き具合を測定して、屋根、壁や柱などの住居の構成要素の状態を確認します。

第2次調査は、罹災した人から申請があった場合に行われます。この場合、申請者が立ち会った状態で再度外観調査を行いますが、住居の中に入って状態を確認する立ち入り調査も行います。

(4)水害被害の現況調査

水害被害遭った場合の現況調査の方法は、地震の場合と同様、外観から見た調査や傾きの判定、屋根や壁、柱などの状態の確認を行いますが、これに加えてどこまで浸水したかの判定も行います。

浸水についての判定をする場合、以下のとおりの基準があります。

  • 全壊:最も浅い浸水が住居の1階の天井にまで及んでいた場合
  • 大規模半壊:最も浅い浸水が床上1メートルにまで及んでいた場合
  • 半壊:最も浅い浸水が床上に及んでいた場合

(5)風害被害の現況調査

風害被害があった場合の現況調査方法も、外観からの判定、傾きの判断、屋根や外壁などの状態の審査については他の場合と同じです。

風害の場合、これに加えて住居の外装による判定が行われます。

外装部分に大きな損傷がなく、住居の中へ浸水する被害が発生するおそれなどがない場合には、半壊の被害の程度に至らないとされます。

(6)不服がある場合に再調査を依頼できる

以上、地震や水害、風害における現況調査方法をご紹介しましたが、どの調査においても、被害の程度の判定や調査方法に不服がある場合には再調査を依頼できます。

申請しても必ずしも再調査が行われるとは限りませんが、再調査の申請があった場合、自治体においてその調査内容を確認して、必要があれば再調査が行われます。

8、罹災証明書申請の期限

罹災証明書の申請に期限が設けられることがあります。具体的な期限の長さについては各自治体によっても異なりますが、たとえば罹災してから原則14日や1ヶ月などの短めの期限を設定している自治体も多いです。これに対して、長いところだと、6ヶ月以内の申請で足りる自治体もあります。

罹災証明書を申請する場合には、いつまでに申請しなければならないかを各自治体に確認した上、罹災後早めに手続きをする必要があります。

9、罹災証明書によって受けられる支援内容

罹災証明書の発行を受けると、具体的にどのような支援を受けることができるのでしょうか。以下で説明します。

(1)公的支援

公的支援については、認定された被害の程度によっても内容が異なりますが、一般的には以下のような支援が受けられます。

①税金、国民健康保険料の減免がある

まず、税金や国民健康保険料の減免があります。罹災した住居の家屋の固定資産税や国民健康保険料の支払が、罹災後一定期間の間減額されたり、免除されることがあります。

②被災者生活再建支援金が受けられる

次に、被災者生活再建支援金が支給されます。

罹災証明書に記載された被害の程度によって受けられる支援金の金額が異なりますし、所得制限などもあります。

③住宅応急修理制度を利用出来る

住居が全壊したり半壊した場合には、住居の修理費用を国と自治体が一部負担してくれます。これを住宅応急修理制度と言います。

罹災した住居の状況に応じてこの制度を利用することが可能です。

罹災証明書があると、被害を受けた住居が修復されて再び住むことができるようになるまで、優先的に仮設住宅や公営住宅に入ることが可能です。

④災害援護資金を利用出来る

災害援護資金を利用する事も可能です。災害援護資金とは、自治体から無利息または年利3%で借入ができる資金のことです。貸し付けの限度額は350万円となっていて、利用のためには所得制限もあります。

(2)民間支援

罹災証明書を発行してもらうと、民間からも支援が受けられるケースがあります。

①民間金融機関から有利な条件で借入ができる

まずは、銀行などの民間の金融機関から無利息や低金利で融資が受けられることがあります。

それぞれの金融機関によって、金利や貸付額などの条件が異なります。

②私立の学校の授業料減免が受けられる

次に、罹災した家族に私立学校に通う子どもがいる場合には、その学校の授業料が減免される可能性があります。

③保険金の支給が受けられる

さらに、保険に加入している場合には、災害保険による保険金を受け取ることができます。

以上のように、罹災証明書を取得していると、各種の支援が受けられる可能性がありますので、災害に遭った場合には是非とも取得しておくようにしましょう。

罹災証明書に関するまとめ

今回は、地震や台風、大雨や津波、火災などの被害に遭った場合に交付を受けられる罹災証明書について解説しました。

罹災証明書とは、災害によって住居が被害を受けた場合に、その被害の程度に応じて発行される証明書のことです。罹災証明書では、住居の損壊状態によって認定される被害の程度が異なります。

これに対して被災証明書は、その人が災害に遭ったという事実自体を証明するものであり、車や家財道具が被害に遭ったことなどを証明します。被災証明書では、罹災証明書と違って被害の程度は問題になりません。

罹災証明書を発行してもらうと、公的な支援や民間の支援など各種の支援を受けられる可能性があります。たとえば税金や健康保険料が減免されたり、生活再建支援金の支給を受けることができることもあります。

罹災証明書の発行には期限がもうけられている自治体も多いので、災害被害に遭ったら、早めに申請をすると良いでしょう。

今回の記事を参考にして、災害に遭った場合には忘れずに罹災証明書を申請しましょう。

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