援助交際で逮捕されたら成立しうる4つの犯罪と手続の流れとは

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「援助交際」と聞くと、補導される女子高生や女子中学生を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、援助交際は、むしろ援助した大人の側に成立する犯罪が問題になります。

最近は、LINEなどのSNSや出会い系サイトの掲示板などで、援助交際の裾野が広がっています。
家族や友人が援助交際で逮捕されたらどうなるのか、成立しうる犯罪やその後の手続きなどについて解説します。

1.援助交際で逮捕される行為とは

援助交際では、援助する側に成立する犯罪が問題になります。
援助交際として法律で禁止される行為かどうかは、行為時の児童側の年齢が、18歳未満かどうかという点が判断のポイントになります。

まず、実際に援助をしなくても、掲示板などに書き込みをするだけで犯罪が成立します。
具体的には、出会い系サイトの掲示板で、18歳未満の少年少女に肉体関係の相手として交際を希望する書き込みや、お金などを目的とする交際を求める書き込みをすることです。

実際に肉体関係を持ちにいたったかどうかは関係なく、書き込みをする行為自体が処罰の対象となるのです。
これらの行為は、出会い系サイト規制法という法律で禁止されています。

次に、実際に対価を払って肉体関係を持つに至ることも、当然処罰の対象になります。
これらの行為は、通称「児ポ法」「児童買春・児童ポルノ処罰法」と呼ばれる、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律で禁止されています。

反対に、援助される側については、昨今はインターネット上に援助交際の相手を求めるような書き込みをした児童に警察官が身分を隠して接触し、注意や指導する「サイバー補導」が行われていますが、実際に処罰されるものではありません。

2.援助交際で成立する犯罪とは

援助交際をした場合に関係する法律としては、(1)出会い系サイト規制法、(2)児童売春・児童ポルノ処罰法、(3)売春防止法、(4)刑法の4つが問題になります。

(1)出会い系サイト規制法

出会い系サイト規制法では、サイト上でナンパや交際相手を介するような、いわゆる出会い系サイトに書き込みをしたという行為が問題になります。

実際にセックスや性交類似行為をしたかどうかは関係なく、書き込みをする行為自体が禁止され、処罰の対象になるという特徴があります。

具体的には、出会い系サイトの掲示板に、18歳未満の児童を相手とした、異性としての交際を求める書き込みをすることが禁止されています(禁止誘引行為)。

この「児童」とは少年少女をいい、性別を問いません。
実際に、出会い系サイトの掲示板に18歳未満の児童を性交の相手として交際を求める内容を書きこんだり、お金などを目的として児童を相手方とする異性交際を求める内容を書き込んだ場合は処罰の対象となり、100万円以下の罰金刑が定められています。

(2)児童売春・児童ポルノ処罰法

児童売春・児童ポルノ処罰法の正式名称は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律といいます。

児童買春・児童ポルノ処罰法では、18歳未満の児童に対価を渡して性的関係を持つ行為や、児童ポルノを提供したり、提供目的で所持・製造をする行為、近年の改正で児童ポルノを所持する行為などが禁止されています。

①児童買春とは

児童買春とは、対象を提供して、18歳未満の児童との性交や性交類似行為、児童の性器などを触ったり、児童に性器などを触らせるといった行為をいいます。
児童は18歳未満であれば、女性に限りません。

出会い系サイトなどで18歳未満の児童と知り合い、双方が合意してお金などの授受を行い、性交や性交類似行為をすると、処罰の対象となり、5年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が定められています。

②児童ポルノとは

児童ポルノとは、18歳未満の児童のわいせつなデータ画像・写真などのことをいいます。

具体的には、児童が相手もしくは児童が性交・性交類似行為をしていたり、他人が児童の性器を触ったり触らせたり、服の一部を脱いだ状態でいる姿で性的に刺激するものなどを言います。

児童売春・児童ポルノ処罰法では、これらの画像を所持しているだけでも処罰の対象になります。

ただ、援助交際で問題になりやすいのは、児童との性交の様子を録画するなどの行為でしょう。

児童買春・児童ポルノ処罰法では、児童ポルノを他人に提供しなくても、児童に猥褻な姿をさせて写真にとるなどの行為自体も処罰の対象となります。
この場合の刑罰としては、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が定められています。

さらにこれらの画像などを掲示板に張り付けるなどすると、児童ポルノの陳列にあたるとされる可能性があります。
この場合には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科するとして、重い罪が規定されています。

(3)売春防止法

児童買春に名前が似た法律として、売春防止法があります。
売春防止法では、強制的に売春をさせられる女性を保護する目的で、売春を周旋するなどの行為を処罰の対象にしています。

そのため、18歳以上の人に、対価を払って、双方同意して性交や性交類似行為をしても、処罰の対象になりません。

(4)刑法

援助交際で問題になる児童とは、18歳未満の少年少女を言います。
しかし、性交した相手の児童が13歳未満の女性だった場合、児童と合意があったとしても刑法の強姦罪が適用されます。

児童が13歳以上の女性の場合でも、暴行・脅迫を用いて性交した場合には、強姦罪が成立します。
強姦罪の刑罰は、3年以上の有期懲役と、とても重い罰則が規定されています。

また、暴行・脅迫を用いて、相手に抱き着いたり、性器を触ったり触らせたりすると、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
この場合の相手は、性別を問いません。

強制わいせつ罪の刑罰は、6か月以上10年以下の懲役と、こちらも重い罰則になります。

以上のように、これまで述べてきたように、援助交際では、相手の児童の年齢が18歳未満かどうかがポイントになります。
相手が18歳未満だと知らなかった場合や、相手が「自分は18歳以上だ」と言ったケースではどうなるでしょうか。

この場合、法律で禁止されているのを知りつつ敢えて行ったという「故意」が問題になります。
しかし、援助交際の場合、「18歳以上だ」という言葉を信じたというだけでは故意がなかったと判断されないことがあります。

高校の制服を着ている、明らかに幼いなど、外見上18歳未満といえないような場合では、故意が認められる可能性があります。
反対に逆に、女性の大学の学生証や免許証で18歳以上であることを確認したけれど、偽造されたものだったようなケースでは、故意が認められない可能性が高いでしょう。

3.援助交際で逮捕された場合の手続きの流れとは

(1)援助交際で逮捕されるケースとは

援助交際で逮捕されるパターンとしては、準現行犯逮捕と通常逮捕の2つが考えられます。

準現行犯逮捕は、児童とホテルから出てきたところを警察に逮捕されるようなケースです。
通常逮捕のケースとしては、サイバー補導などで補導された児童のSNSでのやり取りの履歴から援助交際の相手が明らかになったり、掲示板にアップした児童ポルノ画像から捜査が始まり、逮捕に及ぶような場合が考えられます。

この場合、朝から逮捕状を持った警察官が自宅にやってきて警察署に連行されたり、家宅捜索が行われてパソコンなどが押収されることもあります。

警察に逮捕されると、留置場に入れられ、最長72時間の逮捕期間が続きます。
この間は、弁護士以外は、家族であっても面会は認められません。

(2)援助交際で勾留されたら

逮捕されると、48時間以内に検察庁に送致され、検察官の取調べを受けることになります。
その面談を踏まえて検察官が釈放すべきかを検討し、検察官も裁判官も釈放すべきでないと判断した場合は、10日の勾留が決定します。

場合によっては更に10日延長され、逮捕から23日もの間、留置場で生活しなければいけません。

勾留中でも、弁護士が早期釈放を主張して不服申し立てを行い、これが認められれば、勾留期間が満了する前に釈放されることもあります。

勾留中に、検察官が事件を不起訴にするか、起訴して裁判にかけるかどうかを決めます。

(3)援助交際で起訴されたら

検察官の判断で不起訴処分とされると、釈放されて前科がつくことはありません。
不起訴処分を獲得するためには、弁護士に依頼して、児童が18歳未満ということに故意がなかったなどを主張する弁護活動を行うことが有効です。

反対に起訴されると、略式裁判といって罰金を納めて終了するものと、法廷で刑事裁判にかけられるものとの、どちらかを受けることになります。
刑事裁判を受ける場合は、通常逮捕から2~3か月以内に裁判の日時が決められ、裁判までの間は警察の留置場か拘置所で過ごすことになります。

なお、起訴されると、保釈を申請することができます。
保釈が認められれば、保釈金を裁判所に収めた上で釈放されて家に帰り、一定の制約を除いて通常通りの生活を送ることができます。

(4)援助交際の刑事裁判

裁判では、起訴された内容を認めている場合では、1回の裁判でほとんど終了し、2回目の裁判で判決が下されるケースが多いです。
判決に不服が有る場合は、2週間以内に控訴することもできますが、控訴せずに2週間が過ぎると判決は確定します。

裁判で有罪判決が下され確定すると、執行猶予付きの判決で刑務所に行かなくて良かったとしても前科がつくことになります。
同様に、略式罰金になった場合も前科は付きます。

反対に、裁判で無罪になれば前科はつきません。
とはいえ、日本の刑事司法で無罪判決を獲得する可能性は0.1パーセントとされています。
無実の援助交際事件で逮捕されたような場合は、弁護士をたてて、十分に無実の証拠を集めて主張しましょう。

4.まとめ

援助交際では、援助した側に犯罪が成立し、援助された側を処罰する法律がないことに、まず驚かれた方もいるかもしれません。

援助交際は、行為の態様や相手の年齢によって、成立する犯罪が変わる可能性もありますし、それによって刑罰も大きく変わります。
援助交際で逮捕されたような場合には、できるだけ早く、弁護士などの専門家に相談しましょう。

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