アルバイトやパートタイマーは残業代が支給される?計算方法や未払い時の請求方法を解説

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最近、政府主導で働き方改革が進められており、多くの企業で残業規制が厳しくなっていますが、それでもサービス残業はなくなっていません。

大手の企業が多額の残業代支払いに応じたニュースなども大きく報道されて注目を集めたこともあります。

さて、アルバイトやパートの労働者は、残業代をもらえないと考えていることがありますが本当でしょうか?

実は、こういった雇用形態であっても請求できる可能性があります。

今回は、アルバイトやパートタイマーでも残業代を請求する方法を解説します。

1.アルバイト、パートってどんな働き方?


残業代と言うと正社員が請求するものというイメージがあり、アルバイトやパートタイマーの場合には支払いを受けられないと思っていることが多いのではないでしょうか?

実際に、「一緒に働いているアルバイトやパートの同僚は残業代なんて請求していないから、自分の場合も当然請求できない」と考えていることもあるでしょう。

そもそも、アルバイトやパートタイマーは、具体的に正社員と何が違うのか理解しているでしょうか?
まずは、その違いや内容を説明します。

(1)正社員との違い

パートとアルバイトは「パートタイム労働法」という法律によって「1週間の所定労働時間が、その事業所の他の労働者に比べて短い労働者」とされています。

つまり、同じ会社で働いている他の従業員よりも、定められた労働時間が少ない労働者がパートタイマーであり、アルバイトの労働者です。

そして、こうした労働者の給与計算は、通常「時給」計算です。
時給とは、1時間あたりの給料を決めて、それに労働時間数をかけ算することで給与計算する方法です。

これに対し、正社員は「月ごとの給料」を計算する月給制になっているので、この両者は給与計算方法が異なっており、このことが「パートやアルバイトには残業代が出ない」という誤解につながっています。

(2)パート、アルバイトの違いは?

パートタイマーとアルバイトは、法律上は同じ扱いとなっています。

しかし、一般社会では区別してこの2つの言葉を使い分けていることも多いので、その違いも確認しておきましょう。

まず、パートはパートタイム(part time)で働くパートタイマーのことで英語から来た言葉です。

正社員が一日8時間などの「フルタイム」で働くのに対し、パートタイマーは1日4時間や6時間など正社員よりも短い時間働いています。

アルバイトは、ドイツ語の「arbeit」から来た言葉で「仕事」や「勤労」を意味します。
日本では、旧制高等学校(戦前)の学生が家庭教師などの副業をするときに使い始めたのが始まりです。

実際には同じ意味ですが、もともとアルバイトは学生が使い始めた言葉であり、パートが短時間労働を指す労働であることから日本では「パートと言えば主婦」、「アルバイトと言えば学生」というイメージが浸透しているのです。

パートやアルバイトの場合にも、正社員より労働時間が短いだけで労働内容は正社員と同じことが多いですし、長期契約になることもあります。

また、こうした雇用形態は「所定の労働時間より短い」だけで、他の点は正社員と変わりないので労働基準法その他関係法令の適用があり有給休暇も取得できますし社会保険にも加入できます。

労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上になっているパートやアルバイトの従業員の場合、社会保険への加入が事業所の義務となります。

2.パート、アルバイトでも残業代が発生する?


それでは、パートやアルバイトの労働者にも残業代が発生するのでしょうか?

これらの労働者と正社員の違いは「労働時間が長いか短いか」だけです。
そこで、定められた労働時間を超えて働いた場合には、当然残業代が発生します。

「アルバイトやパートだから残業代を請求できない」というのは思い込みですし、周囲の同僚が会社から残業代をもらっていなくても、請求することができます。

3.アルバイト、パートでも残業代が発生するケースとは?


パートやアルバイトでも残業代が発生するケースとは、どのような場合なのでしょうか?

残業代には、法内残業法外残業があります。
法内残業とは、労働契約などで定められた所定労働時間を超えて働いた場合に請求できる残業代です。

ただ、パートやアルバイトの場合、通常時給計算されているでしょうから法内残業が発生することは少ないでしょう。

これに対し法外残業とは、労働基準法で定められた上限を超えて働いた場合に請求できる残業代です。

労働基準法では、1日8時間、1週間に40時間を労働時間の上限と定めているので、これを超えて働いたらパートやアルバイトでも雇用先に残業代を支払ってもらうことができます。

4.残業代の計算方法


次に、具体的に残業代を計算するにはどうすれば良いのかを説明します。
アルバイトやパートの場合、時給計算となるので残業代の計算が比較的簡単です。

計算式は、以下の通りです。

時間外労働の時間数×時給×1.25

1.25がかけ算されているのは、労働基準法の法定労働時間を超える時間外労働の場合、25%の割増賃金が適用されるためです。

大企業の場合で、1週間の労働時間が60時間を超えると割増賃金は5割増しとなります。

また、深夜労働をした場合にも25%増しとなるので、アルバイトやパートの人が1日8時間を超えて深夜に労働をすると、50%(25%+25%)の割増賃金が適用されます。

休日に労働をした場合には、35%の割増賃金が適用されます。

アルバイトやパートであっても、こういった残業代と割増賃金は、すべて適用されるので今まで知らずに請求をしないでいた人は非常に損をしています。

5.残業代の請求方法


それでは残業代の請求をするとき、具体的にどのような手順で進めていけば良いのか説明します。

(1)証拠を集めて残業代を計算する

まずは、証拠を集めましょう。
給与の額を証明するため、当初に締結した労働契約書、労働条件の通知書などが必要です。

タイムカードや勤怠記録、業務日報などは労働時間を証明するために必要です。

こういった資料がない場合、上司徒のやり取りをしたときのメールや退社時に利用した交通機関の領収書などが役立つケースもあります。

証拠がそろったら、それらを元に残業代を計算しましょう。

(2)雇用主と話し合う

残業代の計算が終わったら、その資料と計算結果をもって雇用主と話合いを行いましょう。

最近では、残業代を支払わなければならないという社会の意識も高くなっているので、支払いに応じてくれる企業もあるでしょう。

(3)内容証明郵便を送る

話し合いをしようとしても応じてくれなかったり無視されたりすることもあります。
そうしたときには、内容証明郵便によって、未払残業代の請求通知書を送付しましょう。

これによって法的な効果があるわけではありませんが、確実に請求をしたという証拠になりますし相手企業に対するインパクトが大きいです。

これをきっかけに話合いができて、支払をしてもらえることもあります。

(4)労働基準監督署に相談をする

請求書を送っても無視されたら、労働基準監督署に相談するのも1つの方法です。
労働基準監督署が相手企業を注意してくれたら相手の態度が変わることもあります。

(5)労働審判、労働訴訟を利用する

これらの方法で支払いに応じてもらえない場合には、裁判所を利用した方法で未払残業代を請求する必要があります。

まずは、労働審判を利用することをおすすめします。

これは、3回の審理によって、労働者と雇用者の希望を調整して労働トラブルを解決する方法で専門の労働審判員が間に入ってくれて和解を進めてくれます。

和解ができない場合には、裁判所が審判によって解決方法を決定してくれます。

ただ、労働審判の結果に対し、当事者は異議を出すことができるため、どちらかが異議を出したら確定しません。
その場合には、労働訴訟によって決着をつける必要があります。

まとめ

残業代は、発生すると2年後に時効にかかってしまうため、未払があるなら早めに請求することが大切です。

特にアルバイトやパートの場合、在職中の請求をすると地位が危うくなるため退職後に請求することも多いですが、その場合、2年などすぐに経過してしまうので注意が必要です。

自分で残業代の計算や請求をするのが難しい場合には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

アルバイトやパートタイマーでも残業代を請求できるので、泣き寝入りをせずに正当な支払いを受けましょう。

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