過払い金請求をすると、クレジットカードが作れない?利用中のカードはどうなる?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
shutterstock_291627674

過払い金請求をすると、借金していたにもかかわらず多額のお金が返ってくることがあります。

借金がある(あった)にもかかわらず、お金が返ってくるので大変助かる過払い金請求ですが、この手続きをすることによって、将来クレジットカードが作れなくなることがあるのでしょうか?
もし作れなくなってしまった場合、どのような対処方法をとればよいのかを知っておく必要があります。

また、過払い金請求をした場合に、現在利用しているカードを止められたり、利用制限がされることがあるのかも心配になります。
今回は、過払い金請求をした場合にクレジットカードに対してどのような影響が出るのかについて解説します。

1.債務整理をするとクレジットカードが作れなくなる!

過払い金請求をすると、クレジットカードを作れなくなることがあるのでしょうか?
この問題は、過払い金請求によってブラックリスト状態になるのかと深く関わります。

過払い金請求とは、過去に消費者金融会社やクレジットカード会社などと利息制限法を超える高利率で取引していたケースにおいて、払いすぎた利息を取り戻すことができる手続きです。
過払い金請求は、債務整理の1種として分類されており、任意整理などの他の債務整理手続と同時に手続きが行われることも多いです。

借金完済後に過払い金請求のみを独立して行うこともあります。
一般的に、債務整理をすると自分名義でクレジットカードを作ることはできなくなります。

債務整理をすると、信用情報機関が保管している個人信用情報に事故情報(異動情報)というネガティブ情報が登録されてしまうからです。

個人信用情報とは、個人の借入や返済の履歴などの信用力についての情報のことで、指定信用機関が保管しています。
指定信用機関には、CICとJICC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)があり、多くのクレジットカード会社はCICに加盟しています。
JICCとCICの両方に加盟しているクレジットカード会社もあります。

カード会社は、利用者からカード申込みを受けると、申込者について審査をします。このとき、年収や年齢、勤続年数や勤務先などの他に、信用力をチェックするため個人信用情報を参照します。
具体的には、自分が加盟している指定信用機関に照会をして、その人の個人信用情報に問題となる記録がないかどうかと確認します。

ここで、事故情報などのネガティブ情報があると、信用力がないと判断されて、審査に通らないことになります。
よって、債務整理をして個人信用情報に事故情報が記録されていると、クレジットカードを作れないことになってしまいます。

このように、個人信用情報に事故情報が記録されてクレジットカードなどが作れなくなった状態のことを、俗にブラックリスト状態などと言っています。
個人信用情報に登録された情報は、債務整理手続後5年~10年程度が経過したら消去されます。

よって、債務整理によってクレジットカードが作れなくなると、その後5年~10年程度はクレジットカードなしの生活を覚悟する必要があります。

2.社内ブラックの問題

債務整理によってクレジットカードが作れなくなる理由は、もう一つあります。
それは、社内ブラックの問題です。

クレジットカード会社は、個人の信用力をチェックする場合に個人信用情報を参照しますが、それ以外にも問題のある顧客についての独自のブラックリストを設けています。

たとえば、過去に延滞を繰り返されたり、債務整理をされて回収不能になってしまった顧客などについては、社内ブラックに登録して今後一切、審査に通らないようにするのです。

社内ブラックは、個人信用情報とは異なり公開されているものではありませんし、一定期間が経過したからと言って消去されるものでもありません。
いったんクレジットカード会社に迷惑をかけて社内ブラックに登録されてしまったら、その後永続的にその会社ではカードを作ることができなくなります。

債務整理をしたり、過去に延滞を繰り返して強制解約になってしまったカードなどがある場合、そのカード会社では一生クレジットカードを作れなくなる可能性があるということです。

3.過払い金請求をしてもクレジットカードを作ることができる

過払い金請求も債務整理の1種なら、過払い金請求をするとブラックリスト状態になってクレジットカードが作れなくなるのでしょうか?

この場合、カードを作れるケースと作れないケースがあります。
まず、過払い金請求をした場合にブラックリスト状態になってしまうのかという問題があります。

この点、過払い金請求をしても、基本的には個人信用情報に事故情報が登録されることがありません。
過去には、過払い金請求をしただけで「契約見直し」などの情報が信用情報機関に登録されて、クレジットカード審査に影響していた時代がありましたが、そもそも過払い金請求をする場合というのは、借金を完済しているケースです。

よって、本来過払い金請求をしたからと言って、その人の信用力に問題があるということにはならないはずです。

そこで、過払い金請求によって個人信用情報に情報登録されることが問題視されました。
これを受けて、金融庁も「過払い金請求によって信用情報機関に情報登録されるべきではない」という見解を示し、その後は過払い金請求によって個人信用情報に情報登録されることがなくなったのです。

よって、過払い金請求をしても、個人信用情報に事故情報は登録されず、クレジットカード審査に通ることができます。

以上により、過払い金請求をしても、基本的にはクレジットカードを作ることができることになります。

4.過払い金請求によってクレジットカードが作れなくなる場合

過払い金請求をしてもブラックリスト状態にはならないので、基本的にはクレジットカードを作ることができますが、過払い金請求によってカードが作れなくなるケースがあります。

それは、個人信用情報への事故情報登録によるケースと、社内ブラックにもとづくケースの2パターンがあります。以下では、それぞれに分けて解説します。

(1)間違って事故情報が登録されるケース

過払い金請求によってクレジットカードが作れなくなるケースとして、過払い金請求手続きにより間違って個人信用情報に事故情報が登録されてしまうパターンがあります。
この問題が起こるのは、主に借金返済中に過払い金請求をした場合です。

たとえば、借金返済中に過払い金請求をする場合には、まずは任意整理などの債務整理手続をして、その途中で過払い金が発生していることが判明して、途中で過払い金請求に手続きを切り替えて過払い金の回収をします。
このとき、当初に任意整理のために債権者に対して弁護士が受任通知を発送した時点で、任意整理を前提とした事故情報が信用情報機関に登録されてしまうのです。

すると、その後実は過払い金が発生していることがわかって手続きを切り替えたとしても、事故情報の取り消しの手続きが行われずにそのまま情報が残ってしまうことになります。

このように、過払い金請求をした場合、特に借金返済中のタイミングで手続きをすると、手続き後にブラックリスト状態になってしまうことがあります。
ただし、この場合にも登録された事故情報を消してもらうための対処方法はあります。

具体的には、6の項目で説明します。

(2)社内ブラックに登録されるケース

過払い金請求をした場合にクレジットカードを作れなくなるケースとしては、社内ブラックに登録されてしまうケースがあります。

たとえば、過去にクレジットカード会社のキャッシングを利用していて当時も延滞などを繰り返しており、そのクレジットカード会社に対して過払い金請求をした場合などには、そのクレジットカード会社内の社内ブラックに登録されてしまうおそれがあります。
いったん社内ブラックに登録されると、その会社では永続的にクレジットカードを作ることはできなくなります。

ただし、この場合、他のクレジットカード会社には影響がないので、別の会社でクレジットカードの申請をすると、カードを作れることが普通です。

5.過払い金請求をすると、今利用しているクレジットカードはどうなる?

過払い金請求をしても、基本的にはブラックリスト状態にならないので、社内ブラックに登録されない限りはクレジットカードを作ることができます。
しかし、それとは別に今使っているクレジットカードがどうなるのかという問題があります。
今使っているクレジットカードがある場合に過払い金請求をすると、そのカードの利用を止められたり利用制限がかかることがあると不都合です。

そこで、この問題について以下で説明します。

(1)過払い金請求をした相手のクレジットカード会社

過払い金請求をする場合、今使っているクレジットカードが止められるケースがあります。
それは、利用中のクレジットカード会社を相手にして過払い金請求をしたケースです。
この場合には、カードの利用が停止されますし、場合によってはそのカード会社では永続的にクレジットカードを作ることができなくなる可能性があります。

もし、光熱費や家賃支払い、ETCの支払などに利用しているクレジットカードがあって、そのカード会社に対して過払い金請求をする場合には、支払方法を別のクレジットカードにするなどして変更しておくと良いでしょう。

(2)過払い金請求の対象以外の会社

過払い金請求をする場合、利用しているクレジットカード会社を対象にしないことが多いです。
このように、過払い金請求の対象にしない場合、基本的にそのクレジットカードが止められることはありませんし、利用制限がかかることもありません。

ただし、過払い金請求によって、間違って個人情報に事故情報が登録されてしまったケースでは、後日問題が発生することがあります。

クレジットカード会社は、定期的又は不定期的に途上与信という与信審査をしています。
与信審査とは、カード利用者の信用力に関する調査のことです。与信審査の際には、カード会社は個人信用情報の内容をチェックしますので、その際に事故情報が記録されていると、クレジットカードの利用を止められてしまいます。
カードの更新の際にも、同じように個人信用情報を参照して与信審査をしますので、事故情報が記録されているとやはりクレジットカードを利用停止されてしまいます。

過払い金請求によって事故情報が登録されたままの状態が続いていると、すぐにはカードが止められなくても、途上与信やカード更新のタイミングで突然カードが止められるおそれがあります。

このように、過払い金請求をした場合、間違って個人信用情報に事故情報が登録されてしまったら、その後新たにクレジットカードが作れなくなるだけではなくカードの利用停止措置をとられてしまうおそれもあるので、早急に対処する必要があります。

6.過払い金請求によってクレジットカードが作れなくなった場合の対処方法

過払い金請求をすることによって個人信用情報に事故情報が記録されてしまい、クレジットカードが作れなくなってしまったら、どのような対処方法をとれば良いのでしょうか?

以下で問題の解消方法を解説します。

(1)貸金業者に事故情報取り消し請求をする

過払い金請求によって個人信用情報に事故情報が登録されてしまったら、過払い金請求をした相手方の貸金業者に対して「事故情報取り消し請求」をする方法があります。

過払い金請求によって事故情報が記録されたのは、過払い金請求を受けた貸金業者が信用情報機関に対し、債務整理の事実を通知したためです。
その後過払い金が発生していることがわかって過払い金請求しか行われなかったのであれば、事故情報の取り消し通知を送っておかなければならないのです。

ところが、貸金業者がこの取り消しの通知をしなかったために、手続き後も事故情報が残った状態になってしまっています。

そこで、過払い金請求後、間違って事故情報が残っている場合には、まずは請求の相手方業者から信用情報機関に対して事故情報取り消し請求をしてもらうと良いのです。
そのためには、貸金業者に対して「事故情報取り消し請求書」を送ります。

この請求書には、「御社との取引では、既に借金は完済して過払い金請求によって終了しております。ところが、事故情報が残ったままになっています。

そこで、信用情報機関に対して事故情報の取り消し通知をして頂くよう請求します。
14日以内に対応して頂けない場合には、金融庁に通知をして行政指導などを申し立てることになりますので、ご注意ください。」などのことを記載すると良いでしょう。

これを受けて貸金業者が信用情報機関に事故情報取り消し通知をしてくれれば、個人信用情報から問題のある情報が削除されてクレジットカードが作れるようになります。
また、事故情報が削除されたら、将来の与信審査やカード更新の際に突然クレジットカードが止められることもなくなります。

(2)信用情報機関に対して訂正請求をする

過払い金請求によって個人信用情報に事故情報が記録されてしまった場合、貸金業者がなかなか対応してくれない場合などには、自分で訂正請求ができるケースがあります。

問題のある情報が登録されている信用情報機関に対し、間違った情報が掲載されていることを理由として情報の訂正請求をします。
これが認められたら、個人信用情報から事故情報が抹消されて、また問題なくクレジットカードを作ることができるようになりますし、カードが突然利用停止になるおそれもなくなります。

7.過払い金請求をしたら、個人信用情報をチェックしよう!

過払い金請求をしても基本的はクレジットカードを作れますし、利用を止められることもありません。

しかし、時には間違ってブラックリスト状態になってしまうケースがあります。
この状態を気づかないまま放置していると、いきなりクレジットカードが利用停止になって多大な不利益を被るおそれもあります。

そこで、過払い金請求をしたら、手続き後にブラックリスト状態になっていないかどうかをチェックすることが重要です。

各信用情報機関では、保管している個人信用情報について、情報の本人からの開示請求に応じています。
情報開示請求をするには、各信用情報機関に対して個別に個人情報開示手続きをとります。

各信用情報機関によって情報開示の手続き方法が異なります。
インターネットや電話、郵送などの方法で手続きすることができます。
個人信用情報の開示請求をする場合には、3つの信用情報機関のすべてに対して開示の手続きをとりましょう。

2つ以上の信用情報機関に加盟している貸金業者も多いですし、銀行等の金融機関から住宅ローンなどを借り入れる場合には、KSCでの個人情報の状態も問題になるからです。

個人信用情報開示請求には、1件あたり1000円程度の費用がかかります。
開示請求をしたら、後日自宅宛に個人信用情報の回答結果が返ってきます。
これを見ると、自分の個人信用情報の状態がわかります。

事故情報が登録されていなければ、特に対処は不要ですが、もし間違って事故情報が記録されてしまっていたら、すぐに貸金業者に事故情報取り消し請求をしたり、信用情報機関に訂正請求をするなどの対処をとりましょう。

まとめ

今回は、過払い金請求手続きによってクレジットカードが作れなくなるのかについて解説しました。

過払い金請求をしても、社内ブラックに登録されない限りはクレジットカードを作ることができます。
また、現在利用しているカードを対象にしない限り、利用中のクレジットカードが利用停止されることもありません。

しかし、過払い金請求によって間違って事故情報が登録されてしまうケースもあります。
そこで、過払い金請求手続きをしたら、手続き後に信用情報機関に対して個人信用情報開示請求をしましょう。
もし間違って事故情報が登録されていたら、早急に過払い金請求をした相手の貸金業者に事故情報取り消し請求をしたり、信用情報機関に対して訂正請求をするなどの対処をとりましょう。

今回の記事を参考にして、過払い金請求によってクレジットカードが使えなくなる不利益を上手に避けましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。