相手方のモラハラで離婚!注意点や慰謝料など知っておきたい9つのこと

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夫婦関係はさまざまだ。一見して外からは問題がなさそうなカップルでも、実際の中身を見てみると、問題を抱えていると言うことも多い。問題をかかえていることに、その夫婦自体が気づいていないこともある。たとえばモラハラがある場合である。

モラハラをしている方は自分がモラハラしていることを認識していないし、被害者の方も精神的な苦痛を感じていても、それがモラハラだと気づいていないことが多い。

このモラハラ、離婚の原因で多いのもまた事実。

モラハラが原因で離婚する場合、どのようなことに注意すれば良いのだろうか。スムーズに離婚する方法などが知りたいところである。また、モラハラが原因で離婚する場合の慰謝料などの金額も気になるだろう。

今回は、相手方のモラハラで離婚する場合の離婚の進め方や慰謝料などの金銭支払いについて解説する。

目次

1、 モラハラ被害は気づかれにくい

2、まずはモラハラされていると気づくことが大切!

3、モラハラ夫は離婚を認めない

4、離婚話をスムーズにすすめるには、まずは証拠を集める

5、離婚調停を利用する方法がおすすめ

6、モラハラの慰謝料は?

7、親権と養育費の問題

8、モラハラ事案の財産分与は?

9、モラハラ事案の婚姻費用は?

1、 モラハラ被害は気づかれにくい

世の中に夫婦の形はいろいろある。夫婦が100組あれば、100通りの夫婦の形があるといえるかもしれない。ただ、一見して外からは問題がなさそうなカップルでも、実際中に入ってみるといろいろな問題があることが多い。たとえばモラハラがその典型である。

モラハラとは、モラルハラスメントの略である。多くは、夫が妻に対して支配しようとして起こる問題である。

モラハラをする夫は、妻を完全に自分の支配下に置こうとする。たとえば妻の一日の行動を監視し、妻が自由に出歩くことなども禁止する。しょっちゅう自宅に電話を入れたりメールを送って返信がないと怒ったり、問い詰めたりする。妻が自分の親族のお葬式に出席することすら許さない夫もいる。また、モラハラ夫は妻を常におとしめ、馬鹿にした態度をとる。「お前は俺がいないと何も出来ない」「お前は最低な人間だ」「お前の相手をするなんて自分だけだ」と言い続けて、妻を精神的に追い詰める。妻の友人づきあいも禁止したり友人を遠ざけるなどして、妻が孤立して夫しか頼る人間がいない状況に追い込んでいく。このようにして、夫は妻を完全に支配するようになる。妻は正常に判断する能力を失い、モラハラ夫から逃げる気力や発想すらなくなってしまうのである。自分でも、夫に言われるとおり「愚かな人間」だと思い込み、自分一人では何も出来ないという無力感でいっぱいになり、夫に従うしかできなくなる。

しかも、モラハラ夫は外面はとてもよい人が多い。そして、妻も夫を常に立てていたりするので、外からは「理想の夫婦」などと思われていたりする。このように、モラハラ被害は外からは非常に気づかれにくいという問題がある。しかも、夫婦それぞれ、自分たちがモラハラ当事者だと気づいていないことも多いのだ。

2、まずはモラハラされていると気づくことが大切!

モラハラ被害は気づかれないことが多いが、モラハラが原因で離婚する場合もある。

モラハラが原因で離婚する場合には、当然モラハラ被害者である妻の方から離婚請求することが圧倒的に多い。そして、この場合には、妻はまず自分がモラハラ被害者であることに気づくことが大切である。

モラハラ被害を受けている場合、その期間が長引いてくると妻は次第にその状況を受け入れて、疑問を感じなくなってくる。日常的に夫に「愚か者」呼ばわりされて、「お前のことなんか誰も相手にしない」と言われ続ける。そして、実際に外との接触を断たれることによって、自分でも何が正しいのか判断が出来なくなるのである。日常的に接する人間が夫だけという状況になり、その夫が自分のことを「馬鹿者」呼ばわりするのだから、自分は本当にダメ人間なのだと思い込んでしまう。夫に怒られるのは自分が悪いからだと考えてしまうのである。これが、モラハラ被害が長引く原因である。

しかし、この状態のままでは状況は改善しない。モラハラ被害から脱却して離婚をすすめるには、まずは現状に疑問を持つことである。そして、インターネットでも本でも良いので、モラハラについて調べてみよう。弁護士などの専門家に相談に行っても良いだろう。このようにして、まずは自分がモラハラ被害者であることに気づくことが何より大切である。

3、モラハラ夫は離婚を認めない

モラハラ被害者がモラハラの事実に気づいて離婚をしようと決意しても、モラハラ夫との間の離婚交渉はスムーズにすすまないことが多い。モラハラ夫は、離婚を受け入れないことが普通だからである。

モラハラ夫は、自分がモラハラしているなどとは全く考えてもいないことが通常である。自分は理想的な夫だと思い込んでいる人も、非常に多い。自分のような夫と結婚出来て、妻は幸せだと信じ込んでいる。よって、妻から離婚を切り出されても、何のことかさっぱりわからないということになってしまう。モラハラ夫は、世間体も気にする人が多いので、当然、離婚を受け入れることなどない。反対に「離婚を言い出すなんて、お前は何を考えているんだ」「だからお前はダメなんだ」と、延々と妻をしかりつけ、説教をするなどの対応をとる。

これでは離婚話をスムーズにすすめることはとうてい不可能だ。このように、モラハラ夫は離婚を認めない上、自覚がないので、モラハラ夫との離婚話はスムーズにすすまないのである。

4、離婚話をスムーズにすすめるには、まずは証拠を集める

モラハラ夫との離婚話をスムーズにすすめるには、どのような手段を執れば良いのだろうか。

この場合、「あなたのモラハラが原因で離婚したい」などと言っても無駄である。モラハラ夫は自分がモラハラだと思っていないので、このようなことを言っても一笑に付されるか、かえって怒り出すだけのことである。離婚話が進むことはない。

そこで、モラハラ夫と離婚するためには、当事者同士で話し合って手続をすすめるのは難しい。まずは、第三者にモラハラの事実を認めてもらうために、モラハラの証拠を集めることが大切である。

モラハラの証拠としては、夫からの頻繁なメールや日常の監視を裏付けるようなメモ書きや手紙、置き書きなどがある。頻繁な着信履歴や通話明細などもとっておこう。モラハラ夫が怒っているときの録音データや、日常のモラハラ夫の言動についての日記をつけておくことも有効である。日記をつける場合には、できるだけ詳しく夫からの支配内容を記載しておこう。

このようにして、なるべくたくさんのモラハラの事実の証拠を集めよう。その上で、離婚の手続をすすめていけば自分に有利に離婚交渉をすすめることが出来る。

5、離婚調停を利用する方法がおすすめ

モラハラ夫と離婚したい場合、夫に直接離婚話を持ちかけても離婚に応じないことが多い。ましてや、慰謝料支払いになど絶対に応じないだろう。

この場合には、どのようにして離婚の話し合いを進めれば良いのだろうか。

モラハラ夫と離婚したい場合には、離婚調停を利用する方法がおすすめである。離婚調停では、話し合いの間に裁判所の調停委員や裁判官が入ってくれるので、モラハラ夫と直接話し合いをする必要が無い。夫と顔を合わせる必要もないので、非常に楽である。夫と顔を合わせないことによって、次第に夫の支配からも解放されて、妻の正常な判断力が戻ってくるし、自分の意見や希望などもはっきり言えるようになってくる。

話し合いの手続も、間に調停委員や裁判官などの第三者が介入することによって、モラハラ夫の方が好き勝手なことを言うことは許されなくなる。

また、調停の席で、先ほど集めておいたモラハラの証拠を調停委員などにも見てもらおう。このことによって、調停委員に実情を理解してもえるので、さらに調停が自分に有利に進められることになる。

もし調停でも離婚の合意が出来ない場合には離婚訴訟(裁判)を利用することになるが、裁判の場においても、モラハラの証拠は極めて重要になる。このように、モラハラ夫と離婚したい場合には、集めておいた証拠類が極めて重要な役割を果たすのだ。

6、モラハラの慰謝料は?

モラハラ夫と離婚する場合には、モラハラ被害についての慰謝料を求めることになる。この場合もモラハラの証拠が必須になる。どんなに酷い被害に遭っていても、証拠が無い限り慰謝料の支払いは認められないからである。

モラハラの慰謝料の金額は、その事案によってさまざまである。結婚年数やモラハラ被害の年数、程度やモラハラの内容などによっても大きく異なってくる。ただ、概して言うと、慰謝料の相場はだいたい50万円~200万円くらいである。ただし、これは裁判になった場合の相場であるから、当事者同士がこれと異なる額を取り決めること自体は自由である。

たとえば相手方が社会的に地位も高く年収も高額な場合などには、これよりも相当高い慰謝料の支払を求めても良いだろう。

 7、親権と養育費の問題

(1)モラハラ夫は親権を主張することが多い

モラハラ夫と離婚する場合には、親権問題も絡んでくる。夫婦が離婚する場合に未成年の子どもがいる場合には、子どもの親権者を決定する必要がある。モラハラ夫の場合、そもそも離婚を拒絶することが多いが、たとえ離婚を認めるとしても、子どもだけは絶対に綿さないという人が結構いる。「お前のようなダメなやつに子どもが育てられるか」というのである。「子どものことを考えるなら、離婚なんて言い出さないはずだ。薄情者」などという言い方をして責めてくる夫も多い。

よって、モラハラ夫と離婚する場合には、親権争いも熾烈になりがちである。

しかし、ここで譲ってはいけない。モラハラ夫に子どもの養育を任せたら、どのような育て方をされるかわからないからである。通常、モラハラ夫が子どもの立場に立って子どものためになるようなきめ細かい監護をしていけることは少ない。

よって、モラハラ夫が親権を主張して、どんなに自分のことを責め立ててきても負けてはいけない。弁護士などと相談して、争って親権を勝ち取るようにしよう。

(2)モラハラ夫への養育費の請求方法

子どもの親権者となった場合には、相手方に対して養育費の支払いを請求することになる。この場合の養育費については、全国の家庭裁判所が採用している養育費の算定表を参考にして金額を決定するとよい。養育費の算定表は、裁判所のホームページや各種のインターネット上の離婚サイト、市販の離婚関係の本などに載っているので、参照しよう。

モラハラ夫が養育費の支払いを拒絶しても、離婚裁判や養育費の調停、審判などの法的な手続を利用すれば、養育費の支払いが認められる。相手方が支払に応じない場合には、モラハラ夫の給料などを差し押さえることも出来る。モラハラ夫は世間体を気にする人が多いので、給料の差押を受けると、とたんに態度が変わってきちんと支払うようになる人も多い。このように、養育費の支払いを拒絶されても、諦める必要はないので、覚えておこう。

 8、モラハラ事案の財産分与は?

モラハラ夫と離婚する場合には、財産分与方法も決定しないといけない。夫婦が離婚する場合には、結婚期間中に積み立てた財産を、お互いに分け合うことが出来る。これが離婚時の財産分与である。

財産分与の割合については、法律上原則として2分の1ずつである。ただし、その夫婦が納得すれば、これとは異なる比率で財産を分けることも出来る。たとえば、7:3や8:2などの割合での分与も可能なのである。

モラハラ夫の場合には、「離婚に応じても良いが、渡す財産などない。すべて俺のものだ」「俺の給料だから当然俺が全額もらう」などと主張してくることも多い。このとき、「離婚さえ出来ればいいか」と思って応じてしまう被害者が多いが、このような身勝手な主張を受け入れる必要は無い。自分には、当然に2分の1の財産を取得する権利があることを意識しておく必要がある。たとえ専業主婦で自分としての収入は一切無くても、法律上は2分の1の財産分与の取り分が認められているのである。これは、夫が外で安心して働いてお金を稼ぐことが出来たのは、妻がしっかりと家を守ってくれていたからであり、妻にも夫婦の財産形成への貢献があったと考えられるからである。

よって、モラハラ夫と離婚する場合にも、財産分与はきちんと2分の1ずつにして分けてもらうべきである。きちんと財産分与を受け取ることは、離婚後の生活のためにも重要だ。離婚調停でもその旨主張し、調停委員や裁判官に相手方を説得してもらって、きちんと権利に応じた支払を受けるようにしよう。

もし調停でどうしても相手方が2分の1の財産分与に応じない場合には、離婚訴訟を起こせば当然に2分の1ずつの財産分与が認められる事になるので、財産分与を諦める必要は全くない。

9、モラハラ事案の婚姻費用は?

モラハラ夫と離婚する場合、離婚前の協議中は夫と別居することがある。夫の方が家を出て行くこともあるし、自分の方からモラハラ夫との生活に耐えかねて、家を逃げ出すこともある。この場合、夫からの生活費の支払いがなくなると、とたんに自分の生活が苦しくなってしまうことがあるが、モラハラ夫との別居中に、相手に対して生活費の支払いを求めることが出来るのだろうか。

(1)婚姻費用(生活費)を請求出来る

夫婦が別居している場合には、収入が少ない側は、収入が多い側に対して生活費の支払いを求めることが出来る。この場合の生活費のことを婚姻費用という。夫婦には相互扶助義務があるので、婚姻費用の支払が必要になる。相互扶助義務にもとづく婚姻費用は、法律によって支払が定められている費用なのである。婚姻費用をきちんと支払わないと、その不払いの事実自体が「悪意の遺棄(見捨てること)」と評価されて、慰謝料の発生原因になることもあるくらいである。

よって、モラハラ夫と離婚前に別居する場合であっても、当然に婚姻費用の請求は出来る。

婚姻費用の金額についても、上記の養育費の場合と同様、全国の家庭裁判所で利用されている基準である婚姻費用算定表がある。婚姻費用算定表では、夫婦のお互いの収入状況などに応じて、金額の相場が定められているので、この相場を参考にして相手方に対し、婚姻費用の支払いを求めると良いだろう。

(2)婚姻費用の請求方法

モラハラ夫に対しても婚姻費用の請求は出来るが、モラハラ夫の場合、婚姻費用の支払を求めても支払に応じないことが多い。そもそも自分が望んだ別居や離婚でもないのに、なぜ生活費まで支払わないといけないのかというのがその論法である。

よって、この場合には、家庭裁判所に申立をして「婚姻費用調停」を利用しよう。

婚姻費用調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入って、モラハラ夫に対して、婚姻費用は法律上支払い義務があることなどを説明し、説得してくれる。もしこれでもモラハラ夫が支払に応じない場合には、裁判官(審判官)が審判を下して、モラハラ夫に対して婚姻費用の支払い命令を出してくれる。モラハラ夫がこれに従わない場合には、給料などを差し押さえて取り立てることも出来る。よって、モラハラ夫と別居する場合には、きちんと婚姻費用の支払いを受けるように手続をするのがおすすめである。

モラハラ夫がどれだけ拒絶しても、支払いを受けることは可能なので、諦める必要は全くないのである。

モラハラ被害に遭った場合には、周囲の家族や専門家の助けを借りながら、あきらめずに自分に有利な条件で離婚できるように、おちついてしっかり取り組むことが重要だ。

まとめ

今回は、モラハラが原因で離婚する場合の注意点や支払を受けられる慰謝料などの金額、請求方法などについて、解説した。

何度もお伝えしたが、モラハラ被害は、外からは気づかれにくいという特徴がある。

また、モラハラの当事者ら自身にも自覚がないことが多い。モラハラから脱却して離婚するためには、まずは自分がモラハラ被害者であることに気づくことが必要である。そして、モラハラ夫と離婚するためには、しっかりとモラハラ被害の証拠を集めよう。その上で、離婚の話し合い自体については、家庭裁判所での離婚調停手続を利用すると良いだろう。モラハラ夫に対しては、慰謝料や財産分与、養育費や婚姻費用など各種の支払を求めることが出来る。モラハラ夫はこれらの支払を拒絶することが多いが、諦めずに手続を執れば、きちんと支払を受けられることが多い。必要なら、弁護士などの専門家の助けを借りることも大変有用だ。

今回の記事を参考にして、できるだけ自分の有利にモラハラ夫との離婚手続をすすめよう。

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