痴漢で逮捕された場合に弁護士を頼む5つのメリット

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痴漢で逮捕されるケースは、決して他人事ではありません。
誰に相談すべきか、弁護士には依頼したほうがいいのか、悩まれる方も多いと思います。

また、弁護士に依頼したら、高額の弁護士費用が掛かるのではないかと心配な方もいるでしょう。
ここでは、ご家族やご自身が痴漢で逮捕された場合の手続きの流れ、そして弁護士に依頼した場合の5つのメリットについて解説します。

1.痴漢で逮捕された場合の手続きの流れとは

「それでも僕はやってない」という映画をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
就職面接に向かう主人公が、女子中学生に痴漢と間違えられ、駅員室に連行されて警察に逮捕され、起訴されて裁判にかけられる…という実話をもとにしたストーリーです。

このようなケースは、決して映画の中だけの話ではありません。

では、痴漢の容疑で逮捕された場合、その後の手続きの流れはどうなるのでしょうか。

逮捕されると、最長72時間の逮捕期間が続きます。
逮捕期間中は、留置場に入れられ、取調べを受けます。
この間、弁護士以外の一般の方は、家族も面会することはできません。

逮捕の翌日か翌々日、検察庁に出向いて、検察官との面談を受けます。
検察官が留置場に留め置くべきかどうかを検討し、裁判官も留め置くべきと判断すると、さらに10日、場合によっては延長されて20日、留置場での生活が続きます。
この期間を勾留といいます。

勾留中に、検察官が今回の痴漢事件を不起訴にするか、起訴するかを決定します。
不起訴になれば前科は付きません。
起訴されると、罰金を納めて事件が終了する略式裁判か、法廷での裁判か、いずれかを受けることになります。

裁判で無罪になれば前科はつきませんが、略式裁判で罰金刑になったり、法廷での裁判で有罪判決が下ると、執行猶予がついても前科がつくことになります。

2.痴漢で逮捕された場合に弁護士ができることとは

(1)痴漢で逮捕された直後でも弁護士なら面会できる-弁護士を頼むメリットその1

逮捕されてから最長72時間続く逮捕期間中、一般の方は家族でも面会できません。
しかし、逮捕期間中でも、弁護士なら逮捕された人と面会することができます。

逮捕後、勾留された場合、「接見禁止」という処分がつかなければ、一般の方も面会することができます。
ただし、一般の方の面会は、平日の朝から夕方までの間に限られ、面会時間も15分程度に制限されます。

また、1日1組3人までしか面会できないので、他の人が先に面会していると当日会えないということもあります。
さらに、一般の方との面会には警察官が立会い、内容をメモされます。

一方、弁護士に面会を頼んだ場合は、日時や時間の制限がありません。
平日に限らず土曜日曜祝日でも、早朝や夜間でも面会できますし、時間の制約もないので何時間でも面会することができます。
また、警察官の立会いなく、面会の内容が警察に知られることはありません。
さらに、接見禁止の処分がついている場合でも面会することができます。

逮捕されると、連日警察官や検察官の取調べを受け、心身疲労して追い込まれがちです。
接見禁止で家族が面会できない場合でも、弁護士に伝言を頼むことができるので、弁護士を頼むメリットは大きいと言えるでしょう。

(2)弁護士を介して痴漢の被害者と示談ができる-弁護士を頼むメリットその2

本当に痴漢をして逮捕された場合、きちんと反省して謝罪を被害者に伝え、損害の賠償をすることが重要になります。
示談、という言葉はよく耳にすると思いますが、このように被害者に対して弁償金を支払い、当事者間で事件の解決を約束することを示談といいます。

痴漢事件の場合、被害者と示談することがその後の手続きに大きな意味を持ちます。
示談をしたからといって必ず釈放されたり前科が防げるとは限りませんが、被害者が事件を許しているということを有利に考慮してもらえます。

また、服の上から触るような痴漢は、通常各都道府県の条例違反として処罰されますが、下着に手を入れて触るような痴漢は、刑法の「強制わいせつ罪」という重い罪で処罰されます。
この強制わいせつ罪は、親告罪といい、被害者が告訴しなければ検察官も起訴できないという犯罪の類型です。

告訴されなければ起訴されず、起訴されなければ裁判にならず、裁判にならなければ有罪にならず、有罪にならなければ前科がつかない、という関係になります。
強制わいせつの痴漢で逮捕されたなら、弁護士を通じて被害者に示談してもらい、告訴を取り下げてもらうことができれば、確実に前科がつくことを防ぐことができるのです。

しかし、加害者に住所を教えたり、直接連絡が来るのは嫌だという被害者がほとんどです。
もし被害者の連絡先を知っていたとしても、相手の意向を確かめずに直接連絡したり、謝罪に出向いたりすると、脅しと捉えられて余計に事態が悪化する可能性もあります。

弁護士に依頼すれば、被害者の了解をとった上で、検察官などから被害者の連絡先を聞いて、示談の交渉ができる可能性が高くなります。
加害者と直接話したくはないけれど、弁護士になら連絡先を伝えて話しをしても良い、被害者の気持ちを加害者に伝えて反省してほしいという方も少なくないからです。

加えて、弁護士がついていれば、相手の要望や示談金の相場を踏まえた上で、適正な金額で円満に示談交渉を進めることもできます。

痴漢の被害者との示談交渉を希望する場合は、弁護士に依頼するメリットが大きいと言えるでしょう。

(3)弁護士に痴漢の前科を付けない活動を依頼できる-弁護士に頼むメリットその3

痴漢で逮捕されても前科をつけないためには、不起訴処分を獲得するか、無罪判決を獲得することが必要です。

とはいえ、日本の刑事司法では、無罪判決の獲得率は0.1パーセントと非常に低く、起訴されると99.9パーセントが有罪になるとされています。
そのため、痴漢で逮捕された場合に前科がつくことを防ぐには、検察官に不起訴処分にしてもらうことが重要になります。

不起訴処分とは、事件を裁判にかけるかどうか決める権限を有する検察官が、裁判にかけない、つまり起訴しないと決めることをいいます。
不起訴処分になれば裁判が行われないので、前科がつくことはありません。

痴漢の冤罪で逮捕されたり、否認しているような場合には、弁護活動によって被害者の供述の信用性が低いことや、他の証拠を提出するなどして、嫌疑なし・嫌疑不十分といった類型の不起訴処分の獲得を目指すことができます。

もし本当に痴漢をしていた場合には、弁護士を介して被害者に示談に応じてもらい、事件を許してもらうことで、あえて起訴する必要はないとする起訴猶予という類型の不起訴処分の獲得を目指すことができます。

痴漢で逮捕されても前科を防ぎたい場合には、弁護士による弁護活動を行うことに、大きなメリットがあると言えるでしょう。

(4)弁護士に留置場から早く釈放されるよう依頼できる-弁護士を頼むメリットその4

痴漢で逮捕された場合に、釈放されるタイミングは大きく分けて4回あります。

1回目のチャンスとしては、逮捕されても勾留を防ぐことです。

逮捕後最長72時間の逮捕期間のあと、まだ拘束の必要があるとして勾留が認められると10日間、場合によっては10日延長され、最長23日間、留置場生活が続きます。
逮捕されても、素直に罪を認めて反省し勤務先もはっきりしているような事情があれば釈放される可能性がありますが、否認している場合の釈放は困難です。

しかし、痴漢で逮捕されても、弁護士が検察官と交渉したり、意見書を提出することによって、勾留を防ぐ弁護活動をすることができます。

2回目のチャンスとしては、勾留されても準抗告で釈放を目指すことです。

もし勾留が決定しても、弁護士が裁判所に不服申し立てを行い、早く釈放するように主張する弁護活動をすることができます。
これを「勾留決定に対する準抗告」といいます。

もっとも、準抗告は、裁判官が下した判断を、別の裁判官に不当だと認めてもらうことになるので、認められる確率は高くありません。
しかし、準抗告が認められれば、仕事や学業への影響も最小限にとどめることができます。

3回目のチャンスとしては、起訴されても保釈で釈放を目指すことです。

痴漢で逮捕され、起訴されても、保釈が認められれば釈放されることができます。
保釈されれば、旅行などの一定の制限を除いて通常通り生活できます。

保釈してもらうためには、起訴された後で、裁判所に請求しなければいけません。
弁護士に依頼すれば、正しいタイミングで、適切な内容で保釈の請求をしてもらうことができます。

4回目のチャンスとしては、有罪になっても執行猶予で釈放を目指すことです。

痴漢で逮捕され、起訴されて刑事裁判で有罪になっても、執行猶予を付けてもらえれば釈放され、刑務所に入らなくて済みます。
執行猶予期間中、再び犯罪を行うことなく過ごせば、その罪で刑務所に入る必要がなくなります。

また、執行猶予中は、弁護士などの一定の職業を除いて今まで通りの仕事を続け、社会生活を送ることができます。
執行猶予付きの判決を獲得するには、裁判で、弁護士にきちんと主張をしてもらうことが大切です。

(5)弁護活動で痴漢の冤罪を晴らす-弁護士に頼むメリットその5

無実の痴漢の容疑で逮捕された場合、警察・検察という巨大な組織を相手に一人で闘うのは大変です。
犯人と決めてかかる警察に囲まれ、連日の取調べを受けるのは、心身共に大きな負担になります。

しかし、無実を主張するためには、まずは取調べで容疑を認めないことが大切です。
一度容疑を認めた自白をしてしまうと、事後的に自白を取り消したり撤回するのはとても難しいのです。

弁護士に依頼すれば、取調べでの黙秘権の正しい使い方や、供述調書に署名してよいかなど、取調べを乗り切るためのアドバイスを受けることが可能です。
また、逮捕されて留置場にいる人に代わり、無実を証明するための証拠を集めるなどの活動を進めることもできます。

無実の痴漢の容疑、冤罪で逮捕された場合には、弁護士に依頼して最後まであきらめずに無実を主張しましょう。

3.痴漢で逮捕されたケースで弁護士を頼むデメリットとは

上記のように、痴漢で逮捕された場合に弁護士を頼むメリットは少なくありません。
では、デメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか。

やはり、高額の費用の負担を心配される方が多いのではないでしょうか。

ここで、国選弁護人と私選弁護人という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
国選弁護人は、国が名簿の中から機械的に選ぶ弁護士のことです。
自分たちで選べないこと、犯した罪の刑罰が3年以下の懲役・禁錮刑よりも軽くないこと、保有資産が50万円以上の経済力がないこと、といった条件があります。

各都道府県の条例に違反した痴漢事件の場合、これよりも刑罰が軽いので、逮捕直後は国選弁護人を付けることはできないことになります。

一方私選弁護人は、自分たちで探して付ける弁護士のことです。
私選弁護人の場合は、逮捕の前後に関わらず、いつでも選任して弁護活動を開始できるというメリットがある反面、着手金や報酬金などの費用が掛かります。
費用は、弁護士・弁護士事務所によって変わりますが、着手金で十万円台~数十万円台のところが多いでしょう。

また、私選弁護士のひとつに、当番弁護士という制度があります。
これは、逮捕されたときに、弁護士を1回無料で派遣できる制度のことです。
逮捕された人はもちろん、家族や友人も弁護士会に電話をして当番弁護士を派遣してくれるように頼むことができます。

弁護士会は各都道府県にありますので、一度ホームページで検索してみるとよいでしょう。

その他にも、当サイトでも刑事問題に強い弁護士を紹介しているので、痴漢で逮捕された事件を多く扱った経験がある弁護士などに相談してみるとよいでしょう。

4.まとめ

痴漢事件は、決して新聞やニュースだけの話ではありません。
もし、ご家族がある朝突然痴漢で逮捕されたら、ご自身が痴漢の冤罪に巻き込まれたら、まずは専門家である弁護士に相談してみましょう。

弁護士の意見を聞いて、今後の見通しをたて、適切な対応を検討することが、その後の人生にも大きく影響すると言えるでしょう。

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