離婚後の健康保険や年金はどうなる?どうすればいい?

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離婚をすると、ご自身や子どもの健康保険、年金などの社会保険がどうなるか不安だという方は少なくありません。

専業主婦やパートなどで夫の扶養家族に入っている場合には、離婚によって夫の扶養から外れると、夫の健康保険が使えなくなってしまいます。
なかには小さいお子さんを引き取って育てていく方もいらっしゃるでしょうから、離婚後にすぐに健康保険が使えるように手続をすることが必要になります。

また、年金についても、離婚によって変更手続が必要になる場合と必要でない場合があり、制度が非常に複雑です。

そこで今回は、女性が離婚した後のご自身や子どもの健康保険、年金などの加入、変更の手続についてご紹介したいと思います。

1.医療保険・年金の制度

(1)医療保険

医療保険には、大きく分けて「国民健康保険」と「健康保険(被用者保険)」の二つがあります。

国民健康保険は、自営業や農業、現在職についていない方などが加入するものです。
これに対し、健康保険は、サラリーマンなどが加入するものです。

このほかに、公務員が加入する共済などがあり、日本人はいずれかの医療保険に加入しなければならないことになっています(「国民皆保険制度」といいます)。

(2)年金

年金には、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」の二つがあります。
年金についても、原則として20歳以上になれば誰でも加入することになっています(「国民皆年金」といいます)。

自営業や農業、現在職についていない方は国民年金に、サラリーマンなどは厚生年金に加入しています。

年金には、第1号被保険者(自営業、学生、無職)、第2号被保険者(会社員、公務員など厚生年金、共済に加入している者)、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)といった区分があります。

20歳以上で2号、3号に該当しない人が1号にあたり、国民年金に加入しているといいかえることもできます。

2.婚姻時、国民健康保険に加入していた場合

夫が自営業者で国民健康保険に加入しているような場合、専業主婦も夫を世帯主とする国民健康保険に加入することになります。
また、年金は、夫も妻もともに第1号被保険者に該当し、国民年金に加入することになるので、それぞれ保険料を支払う必要があります。

このような場合に離婚後に元妻や子どもの健康保険や年金がどうなるかは、次のように分けて考えることができます。

(1)離婚後にすぐに仕事が見つからない場合

①新たな国民健康保険に加入

離婚後にすぐに仕事が見つからないなどの場合、国民健康保険に加入する必要があります。

この場合、市町村の役所で元妻を世帯主とする国民健康保険の加入手続をすることになります。
何もしなければ子どもは夫の世帯に入ったままなので、子どもを元妻の世帯に入れる場合には、子どもの異動届を提出する必要があります。

②年金

元妻も婚姻中、国民年金に加入して保険料を支払っており、離婚によってもそのことに変わりはないので、離婚後も特に手続などは必要ありません。
婚姻時と同様、国民年金に加入し、保険料を払っていくことになります。

(2)離婚後すぐに仕事に就く場合

①健康保険に加入

就職先を決め、生計を立てられるように準備してから離婚したような場合のように、離婚後すぐに仕事に就くということもあります。

そのような場合には、勤務先を通じて健康保険の加入手続をします。
子どもを元妻の扶養に入れる場合には、勤務先を通じて子どもの健康保険被扶養者届を提出することが必要になります。

②年金

婚姻中は国民年金(第1号被保険者)に加入していますが、就職により第2号被保険者となりますから、その後は厚生年金を払っていくことになります。
もっとも、号数の変更手続は勤務先を通して行われますので、本人が何か手続をする必要はありません。

3.婚姻時、夫の健康保険に加入していた場合

夫がサラリーマンで妻が専業主婦またはパートの場合、妻は夫の被扶養者として夫の健康保険に加入しています。

年金については、夫は第2号被保険者、妻は第3号被保険者にあたり、夫が厚生年金の保険料を払うので、妻が直接保険料を支払う必要はありません。

このような場合に離婚したときの元妻や子どもの健康保険や年金についても、次のように分けて考えることができます。

(1)離婚後にすぐに仕事が見つからない場合

①国民健康保険に加入

離婚によって妻は夫の被扶養者ではなくなりますから、夫の健康保険から脱退することになります。
したがって、離婚後にすぐに仕事が見つからない場合には、元妻は新たに国民健康保険に加入する必要があります。

この場合、まず元夫に、勤務先を通じて元妻が元夫の被扶養者ではなくなったことを証明する「資格喪失証明書」をとってもらい、その証明書を市町村の役所に提出して、元妻を世帯主とする国民健康保険の加入手続をすることになります。

なお、子どもについては、離婚によって当然に元夫の扶養から外れるわけではないので、何もしなければ元夫の健康保険に入ったままの状態になります。ですから、子どもについては離婚後も元夫の健康保険の利用を継続することができます。

もっとも、病院に行こうとするたびに元夫から保険証を借りる必要があり、特にけがや病気の心配の多い小さなお子さんがいる場合には煩雑であるといえます。

これを避けるため、子どもを元妻を世帯主とする国民健康保険に加入させることが考えられますが、その場合には元夫から子どもの資格喪失証明書を取り寄せる必要があります。

②年金

婚姻中は夫の被扶養配偶者(第3号被保険者)にあたり、夫が厚生年金を払ってきましたが、離婚により夫の配偶者ではなくなるため、第3号被保険者には該当しなくなります。

そのため、元妻は第1号被保険者として国民年金に加入し、保険料を自分で払っていく必要があります。この場合、役所で種別変更届を提出する必要があります。

(2)離婚後すぐに仕事に就く場合

①新たな健康保険に加入

離婚後すぐに就職する場合には、勤務先を通じて新たな健康保険に加入することになります。子どもを扶養に入れる場合には、勤務先を通じて子どもの健康保険被扶養者届を提出することが必要です。

なお、離婚から就職までに多少の期間があいてしまう場合には、理論的には離婚によりいったん国民健康保険に加入し、その後就職することにより健康保険に加入するという二段階が必要になります。

就職の時期などにあわせて、離婚届を提出するタイミングをよく考える必要があるといえるでしょう。

②年金

婚姻中は夫の被扶養者(第3号被保険者)であったのが、離婚して自身が就職することで第2号被保険者となります。勤務先を通して手続が行われます。

健康保険と同様に、離婚から就職までに多少の期間があいてしまう場合には、いったん国民年金に加入し(第1号被保険者)、その後就職することにより厚生年金に加入する(第2号被保険者になる)という二段階が必要になります。

まとめ

離婚後の女性や子どもの健康保険、年金について整理しましたが、いかがだったでしょうか。

もし離婚を考えているという方がいらっしゃったら、ご自身が上で場合分けしたうちのどのケースに該当するかを確認し、健康保険、年金について必要な手続をご理解いただいたうえで、正式に離婚の手続を進めるようにしていただければと思います。

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