週末婚は離婚リスクが高い!生活費や慰謝料はどうなる?

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夫婦の形はさまざまです。

近年では、夫婦が週末だけ一緒に過ごすという「週末婚」の形態をとる夫婦も増えています。

別居状態を基本とした別居婚の形を選択する夫婦もいます。

週末婚や別居婚をすると、お互いが自分の時間を持てますし、自立した関係を保ちやすいなどのメリットがあるので結婚当初から週末婚の形を選ぶ夫婦もいます。

しかし、週末婚は、離婚につながりやすいという大きなデメリットがあります。

しかも、その際生活費の分担や慰謝料、財産分与などの請求方法について、通常のケースよりも不利になってしまうおそれがあります。

そこで今回は、週末婚の場合の離婚問題について解説します。

※この記事は2017年4月11日に加筆・修正しました。

1.週末婚、別居婚とは


近年、週末婚や別居婚という結婚の形を選択する夫婦が増えています。

週末婚とは、基本的に夫婦がそれぞれ異なる家に住んで別居しており、週末だけを一緒に過ごすという結婚の形態です。

別居婚も基本的に夫婦が別居状態で過ごす結婚の形です。

別居婚の中でも、週末には一緒に過ごすことを決めている夫婦の形を特に「週末婚」と言っていると考えると良いでしょう。

10年くらい前から共働きの夫婦が増えて、子どもを作らないという選択をする人が増えてきたことなどから、週末婚の形を選択するカップルが徐々に増加してきています。

今では結婚当初から週末婚を前提として、一切一緒に暮らしたことがないという夫婦も多く存在します。

2.週末婚・別居婚のケース別メリット


週末婚や別居婚には、一定のメリットがあります。

夫婦によって、さまざまな週末婚の形態をとり、それぞれのケースでメリットを感じているので、その内容を以下で説明します。

(1)自由な時間を持ちたいケース

週末婚をすると、夫婦がそれぞれ自由な時間を持ちやすいです。
趣味の時間もたくさん持てますし、自分の好きな時間に好きな場所を訪れることができます。

結婚相手の都合や時間にあわせる必要がないので好きな時間に食事をして、眠ることができます。

このように、結婚しても自分の生活を変えずに自由を満喫できることは週末婚や別居婚のメリットと言えます。

(2)仕事に打ち込みたいケース

週末婚や別居婚をしている夫婦は、共働きの夫婦が多いです。
自分の仕事の時間を減らしたくないという理由で週末婚を選択するのです。

週末婚をすると家事は一人分で済みますし、相手への配慮やケアをする必要がないのでめいっぱい自分の仕事に打ち込むことができます。

結婚しても仕事を減らしたくない女性などにとっては、同居婚より週末婚の方がメリットを感じるケースがあります。

(3)自立した関係を保ちたいケース

週末婚をすると、夫婦がお互い自立した関係を保ちやすいです。
週末婚や別居婚をすると、基本的には平日相手と顔を合わせません。

一緒に過ごすのは週末だけなので、いつまでも恋人同士のような新鮮な感覚でつきあいができます。

同居しているとどうしても相手に依存して、自立した関係を保つことが難しくなりますが、週末婚や別居婚の場合には、いつまでも夫婦がそれぞれ自立した魅力的な人間でいられるというメリットを感じるケースがあります。

(4)束縛を受けたくない、したくないケース

週末婚や別居婚をすると、相手から束縛を受けません。
いつどこで何をしていても、基本的には相手にはわかりません。

夜中まで飲み歩いていても、誰も何も注意することはありません。
お金の使い方についても同じです。

週末婚の場合には、通常自分の収入は自分で管理しているでしょうから、自分の好きなものを好きなときに買うことができます。

もし同居婚をしていれば、このようなことは通常許されないことです。

決まった時間に帰宅して食事をして、夜はきちんと家で眠ることが基本になります。

お金についても、無駄遣いをしていると思われたら注意されてしまうでしょう。

また、同居婚をしていると、どうしても結婚相手を縛って束縛してしまいます。
そのようなことが煩わしいと感じる人もいます。

このように、週末婚や別居婚の場合には相手から束縛を受けないし、自分も束縛せずに済むことをメリットと感じる夫婦もいます。

3.週末婚・別居婚のデメリット


週末婚にはメリットもありますが、反面デメリットも非常に多いです。
週末婚や別居婚は、何より離婚につながりやすいです。

それは、以下のようなデメリットがあることが原因ですので順番に見てみましょう。

(1)お金がかかる

週末婚や別居婚をすると、お金がかかります。

単純に、夫婦がそれぞれ家を用意しないといけないので家賃だけでも2倍かかります。

当然、光熱費や食費なども余計にかかってきます。

しかも週末婚の場合、夫婦が自分で自分の収入を管理していて好きに使ってしまうので、お金を貯めることが難しくなります。

総収入としては専業主婦の家庭よりも高額なはずなのに、夫婦の貯蓄自体は専業主婦の家庭より少ないということも珍しくありません。

週末婚では、夫婦がお互いに自由にお金を使える点がメリットですが、その反面貯蓄ができないことにつながるので注意が必要です。

(2)お互いが成長できない

週末婚や別居婚をすると、夫婦が人間的に成長することが難しくなります。

もちろん、仕事などの場においては活躍して成長していくことはあります。
しかし、人間的な成長はこれとは異なります。

結婚をして同居をすると、相手に対して譲り、受け入れることが必要になります。
自分勝手なことばかり言っていては、夫婦関係がうまくいきません。

ときには衝突も繰り返しながら、結婚当初は他人であった相手が、いつのまにか自分と同じような一体感のある家族に変わっていきます。

このように、同居婚をすると夫婦がお互いに相手を受け入れることを知り、人間的に大きく成長を遂げることができます。

これに対して週末婚や別居婚の場合には、婚姻届を出しているとは言っても他人と変わらない生活をしています。

自分のテリトリーに必要以上に相手が入ってくることもなく、相手に譲ったり相手という人間を完全に受け入れたりする必要はありません。

自分が自立していて相手からの束縛を受けないということは、一見メリットのように思えますが反面いつまでも相手とは他人のような関係が続き、自分も相手も人間的に成長しにくいというデメリットがあります。

(3)結婚した意味が感じられない

週末婚や別居婚のデメリットとして、結婚した意味が感じられないという問題があります。

週末婚や別居婚をした多くの夫婦は、当初は新鮮な気持ちを保つことができて楽しいと感じていますが、その関係が長引いてくると、結婚しているという実感がなくなってきます。

独身時代と何ら変わらない生活を送っていることや普段の仕事や趣味の方が楽しくなってくることもあり、一体何のために結婚したのかがわからなくなってしまいます。

このことが原因で離婚に発展する夫婦もたくさんいます。

(4)不倫しやすい

週末婚や別居婚のデメリットとして、不倫が容易であり、不倫する気持ちになりやすいことがあります。

そもそも別居していて相手は自分のことを束縛しないのですから、週末婚の場合、平日に何をしていようと相手にはわかりません。

平日は毎晩不倫相手を家に泊まらせていたり、外泊したりしていたとしても結婚相手は気づかないのです。

また、週末婚の場合には、結婚相手と一緒に過ごす時間が少ないので心のすきまが生じやすいです。

そうすると、容易に不倫しようという気持ちになってしまいます。

同居婚の場合なら、帰宅すると妻が待っていて食事を用意していたりしてくれているので、罪悪感も芽生えますし、早く家に帰ろうと思ったら不倫しようなどとは考えません。

これに対して、週末婚の場合には、不倫への罪悪感も薄いですし「相手だって自分の知らない間に何をしているのかわからない」という気持ちになって、簡単に不倫してしまいます。

(5)相手への関心が薄らぐ

週末婚や別居婚をすると、相手への関心が薄らぎやすいです。

この点、結婚当初は週末婚の方が新鮮な気持ちを保ちやすく、いつまでも恋人同士のような感覚で相手への関心を保ちやすいと考える夫婦がいます。

しかし、時間が経過してきて数年も経過したら、週末婚でも相手への新鮮な気持ちを保ち続けることは難しいでしょう。

同居婚ならそれまでの間に家族という関係を作っているので、新鮮さはなくなっても別の新しい関係ができているものですが、週末婚の場合にはそのようなことも期待できません。

結局、「相手への関心が薄らいだときが離婚のとき」ということになってしまいます。

このようなことがあるので、週末婚は非常に離婚につながりやすいです。

一定のメリットがあることは確かですが、週末婚や別居婚を選択する際には、それなりのリスクも理解して受け入れることが必要になります。

4.週末婚・別居婚の場合の婚姻費用


週末婚や別居婚の場合には、離婚につながりやすいことがデメリットです。
しかも離婚の際には、条件が通常の同居婚に比べて不利になることがあります。

離婚する際に問題になるのは、別居中の生活費分担である婚姻費用と慰謝料、財産分与が主です。

そこで、以下ではそれぞれについて解説します。

まずは、婚姻費用について見てみましょう。
同許婚の場合には、もともと夫婦の家計が完全に同一です。

そこで別居した場合には、収入の少ない方が収入の多い方に対して婚姻費用分担請求をすることができます。

子どもと一緒に住んでいる方は、相手に対してより多くの生活費を請求できます。

婚姻費用の計算基準も家庭裁判所できちんと決まっているので、夫婦での話し合いもしやすいですし、裁判所の調停や審判を利用すれば家庭裁判所で決定してもらうことも可能です。

しかし、週末婚や別居婚の場合にはこれとは異なります。

もともと家計が別になっていることも多いですし、お互いにそれなりの収入があることが普通です。

しかも、子どもがいる夫婦はほとんどいません。

よって、週末婚や別居婚の場合には、相手に対して婚姻費用分担請求をすることが難しくなるケースが多いです。

もともと別居しており、別々に収入があって自分の収入を管理していたのだから、離婚話が出てからもそのままで良いだろうと判断されることになります。

別居婚で、夫婦の収入を合算して一括で管理していたケースであっても、離婚話が出た後は自分の収入を自分で管理すれば良いのではないかという解決方法になってしまう可能性があります。(つまり相手に婚姻費用を請求することはできないと言うことです)

以上のように、婚姻費用分担請求は、お互いに同じような収入があって子どもがいないと難しくなるので注意が必要です。

5.週末婚・別居婚の場合の慰謝料


週末婚や別居婚の場合には、相手に対する慰謝料請求も難しくなるケースがあります。
以下で、その理由を説明します。

(1)不貞などがあっても気づかない

離婚の際に慰謝料を請求するためには、結婚相手に慰謝料発生原因(離婚原因)となる行動があったことが必要です。

しかも、その事実を証明することも求められます。

しかし、そもそも週末婚や別居婚の場合、相手が不貞などの慰謝料発生原因(離婚原因)となる行動をしていても気づきにくいです。

たとえば相手が平日不倫をしていても、週末に会った際に妙なそぶりがなければ、全く気づかず何年も過ごしてしまうことも考えられます。

同居していれば、相手のふとした言動にいつもと違うところがあるのに気づいて不倫に感づくケースが多いですが、週末婚の場合には相手のちょっとした言動から不倫に気づくことも難しくなります。

離婚の話し合いの最中も不貞に気づくきっかけがなく、慰謝料請求をしないまま離婚してしまうことになります。

(2)証拠を集められない

週末婚や別居婚の場合、相手が慰謝料発生原因(離婚原因)となる行動をとっていたとしても、その証拠を集めるのが困難です。

同居していたら、相手の携帯電話やスマホ、SNSなどをチェックしたり、相手にGPSをつけて不審な行動をチェックしたり、相手が出かけるタイミングで興信所をつけて不倫の調査をすることなどができます。

相手が置き忘れていた不倫相手とのデートの明細書を見つけたり、クレジットカードの利用明細書から不倫が判明したりすることもあるでしょう。

しかし、週末婚の場合には、このような相手の不倫の証拠をつかむことが難しいです。

相手の携帯電話やパソコンをチェックすることはほとんど不可能ですし、相手方が家においている不倫相手との関係を示すような証拠も目にすることがありません。

興信所をつけようにも、いつどこに行けば相手が不倫相手と密会しているのかの目星をつけられないので、上手に尾行調査することができません。

このように、週末婚や別居婚の場合には証拠がそろいにくく、相手に対して慰謝料請求することがかなり難しくなることがあります。

6.週末婚・別居婚の場合の財産分与


週末婚や別居婚の場合、財産分与においても通常の同居婚と違いが発生しますので、以下で解説します。

(1)家計が同一でないと財産分与できない

離婚の際には、当然のように相手に対して財産分与ができると考えられています。

しかし、離婚で財産分与請求ができるのは、夫婦の共有財産があるからです。

夫婦の共有財産がなければ離婚するからといって財産分与請求ができません。

共有財産と言えるためには、夫婦の家計が同一である必要があります。

家計が同一かどうかは、通常夫婦が同居しているかどうかで判断されます。

たとえば同居婚の夫婦の場合には、離婚時財産分与が認められるのは別居時までに貯めたお金が対象になります。

別居後は、それぞれがお金を管理するので、別居後に積み立てたお金は夫婦共有財産とは言えず、お互いのそれぞれの財産になるという考えがあるからです。

このことからすると、週末婚や別居婚の場合で、家計が完全に別々の場合には、そもそも相手方に対して財産分与請求ができない可能性があります。

(2)財産隠しが容易になる

週末婚や別居婚の場合であっても、夫婦の収入を完全に合算してそこからすべての支払をして残りを貯蓄している、と言うような形をとり、夫婦の家計を統一しているケースもあります。

このような場合には、たとえ週末婚の形をとっていても夫婦共有財産が観念できるので、財産分与請求ができる可能性があります。

しかし、この場合にも同居婚とは異なるデメリットがあります。
それは、特にお金を主に管理していない方の当事者におけるデメリットです。

週末婚や別居婚の場合、相手がどこにどのような財産を持っているのかが全く把握出来ません。

同居していれば、自宅宛に郵便物も届きますし、自宅に銀行通帳もありますし、相手が銀行に行ったり手続きしたりしている様子も目にするので、自然にどこにどのような財産があるかの目星がつくものです。

どのような生命保険に加入してお金をどのように運用いているかもわかります。

これに対して、週末婚の場合には、一体どこの口座にどのようにして貯蓄しているのか、あるいはしていないのか、どのような生命保険に加入しているのか、株や投資信託をしているのか、あるいはしていないのかなどがまったくわかりません。

財産分与請求をする場合には、相手方が自分から財産開示してくれない限りは自分から財産を特定して開示させる必要があります。

どこにどのような資産があるかわからないという状態では財産調査にも限界があり、結局は財産分与を受けられなくなってしまうのです。

よって、週末婚や別居婚の場合、財産隠しが非常に容易になります。

結局、夫婦に共有財産があるとしても、適切に財産分与請求をすることができないまま離婚してしまうリスクが高まります。

以上のように、週末婚や別居婚の場合、離婚の際の慰謝料や財産分与などさまざまな場面において同居婚より不利な状況が生じやすいので、注意が必要です。

まとめ

今回は、近年増加している週末婚や別居婚の離婚問題について解説しました。

週末婚や別居婚をすると、お互いが自由な時間を持てて自立した関係を続けられる等のメリットもありますが、それは反面夫婦が本当の家族になることができず、成長できないことにつながります。

そして、何より週末婚や別居婚は離婚につながりやすいです。

週末婚や別居婚で離婚をする場合には、通常の同居婚の場合とは異なり、相手に対する婚姻費用や慰謝料、財産分与などの請求が難しくなることがあります。

今回の記事を参考にして、週末婚や別居婚をする場合にはきちんとリスクを理解し、それを踏まえて安易にそのような形を選択しないように慎重に対処しましょう。

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