詐欺被害にあった際の対処法と返金に強い弁護士の選び方

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振り込め詐欺やオレオレ詐欺、投資詐欺など、詐欺被害は後を絶ちません。

このコラムをご覧いただいている方の中にも、家族や知り合い、またはご本人が詐欺の被害に遭ったという方もいるかもしれません。

詐欺被害に遭った場合には、ショックで誰に相談したらいいか分からない、また少しでも返金してほしいがどうしたらいいか分からないといったお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

実際、詐欺被害に遭うと、被害金を全額回収することはなかなか難しいのが実情です。

しかし、諦めてはいけません。

詐欺被害の対処方法や交渉に強い弁護士に相談することで、解決の道が見える場合もあります。

今回は、詐欺の被害に遭った場合の対処法や返金交渉に強い弁護士の選び方について解説したいと思います。

1.よくある詐欺被害の5つの事例

(1)振り込め詐欺、オレオレ詐欺

振り込め詐欺やオレオレ詐欺は、注意喚起が促されるようになって久しいですが、被害は一向に減りません。

以前は、若い男性が息子を名乗って電話をかけてくるケースが大半でしたが、最近は女性も加害者になって、娘を名乗るケースも増えています。

また、「劇場型詐欺」といって、子ども役、警察官役、弁護士役など、入れ代わり立ち代わり電話をしてきて、被害者に考える隙を与えないといった手口が増えています。

振り込め詐欺は、ほぼすべてのケースが組織化された集団で実行されていて、お金を受け取りに来た「受け子」や電話をかけていた「掛け子」などの下っ端が逮捕されても、被害金は姿を見せないトップが持って逃亡し、なかなか回収できないことも多いのです。

(2)投資詐欺

投資詐欺は、未公開株詐欺、不動産投資詐欺など、様々な種類があります。
中でも、上述のような「劇場型詐欺」で、複数の人が電話をかけてくるケースが多い特徴があります。

また、公的機関の職員を騙り「未公開株詐欺が流行っている」などと注意喚起を促しつつ「この会社は信用できる」などと信じ込ませることもあります。

また、一度支払うと、「あなたの口座が架空取引に利用されており、お金を振り込まなければ逮捕される」などと嘘の情報を騙って振り込ませるケースも横行しています。

(3)ワンクリック詐欺

ワンクリック詐欺は、アダルト詐欺ともよく関連する詐欺の種類で、消費者センターへの相談が例年1位になるほど巷にあふれています。

アダルトサイトなどを閲覧している最中に、突然「登録完了しました」等の表示が現れ、「1週間以内に10万円を振り込んでください」などと登録料を要求するのです。

しかし、実際のワンクリック詐欺は、ここから先の情報を得るところに主眼があります。

退会はこちらなどというフォームに個人情報を入力させたり、電話をかけさせるなどして情報を得た後に、入金しなければ裁判にするなどと脅して被害金を騙し取っていくのです。

本当に登録した場合はきちんと支払わなくてはいけませんが、身に覚えのない登録の架空請求については無視することが一番です。

(4)還付金詐欺

還付金詐欺は、主に高齢者を狙った詐欺の種類です。
保険料などが還付されるから受け取り手続きをしてほしいなどといってATMを操作させ、実際はお金を振り込ませるという手口です。

還付金がATMで振り込まれることは絶対にないので、騙されないように日頃から意識しておくことが一番です。

(5)携帯電話詐欺

最近増えている詐欺の類型で、融資を受ける条件として携帯電話を購入し、業者に送らせるというものです。

携帯電話を買う際には、自分でローンを組んで購入しますが、実際に融資金は振り込まれない上に、送った携帯電話が別の犯罪に使われることが多く、犯罪の片棒を担ぐ恐れもある類型です。

違法なヤミ金業者が「即融資可能」などとうたって、数社からスマホを購入させるケースが増加しています。

2.詐欺被害に遭った場合の対処の流れ

(1)警察に電話をする

詐欺被害に遭ったと気付いた場合には、まず警察に電話しましょう。
最寄りの警察の番号が分からない場合は、110番でも構いません。

また、劇場型詐欺では、犯人が警察を名乗って電話をしてくる場合もあります。

本物かどうかを確かめるためにも、お金のやり取りを巡って警察を名乗る電話があった場合は、まずは警察に電話して、その電話が本当かどうかを確認することが被害の防止につながります。

(2)銀行に電話をする

詐欺の被害に遭った場合、気付いた段階ですぐに振込み先の銀行に電話をしてください。
振り込んだ先の口座は、詐欺グループの口座です。

その口座への入金などの取引を停止し、口座を凍結してもらうことで、もし口座にお金が残っていた場合に、被害金の分配を受けることができます。

(3)情報をメモする

詐欺の被害に遭ったと気付いた場合、その時点で思い出せる情報をすべて記録しておきます。

具体的には、相手の口座番号、連絡が来た際の電話番号、受け取りに来た受け子がいた場合はその人相など、何でも構いません。

投資詐欺などで契約書があるようなケースでは、そういった書類などもそろえておきましょう。
これらは、のちに刑事事件化して詐欺を立証していく際に証拠として有効です。

(4)弁護士に相談する

詐欺被害に遭った場合には、弁護士に相談してください。
特に、詐欺をした側に実体がある場合、交渉することで返金を受けられる場合があります。

とはいえ、被害者が直接交渉しても相手にされないことが大半です。
しかし、弁護士が交渉することで、相手が裁判沙汰や刑事処分を恐れて返金に応じることがあります。

3.詐欺被害に遭った場合に注意すべき3つのこと

(1)とにかく急いで対応する

詐欺師は、プロ集団です。

詐欺をして成功すると、会社をたたんだり、電話を解約したり、お金を口座から降ろしたり、痕跡を残さずに消え失せ、また別の詐欺を働きます。

詐欺師の行方が分からないと、返金の交渉もできません。
また、詐欺師が財産を処分した後は、詐欺が立証できたとしても被害金の回収は困難です。

詐欺師が逃げる前、財産を処分する前に、対応をする必要があるのです。
詐欺の被害に遭った場合には、一刻も早く警察・銀行への連絡と、弁護士への相談を行いましょう。

(2)弁護士の選び方に気を付ける

上記のように、詐欺被害に遭った場合は弁護士に相談することで、被害金の返金交渉により、お金が少しでも取り返せる場合があります。

しかし、インターネットで「詐欺 弁護士」と探しても、大半が詐欺をした人を弁護士する側のことが大半です。

また、弁護士に相談できたとしても、詐欺の立証が難しいことを理由に受任を断られるなど、詐欺被害者の味方になる弁護士を探すのが困難なケースもありえます。

詐欺被害者の味方になってくれる弁護士を探す場合は「詐欺 被害者 相談」など、被害というキーワードを入れて探し、まずは相談をしてみましょう。

実際に依頼する場合は、弁護士の料金体系をきちんと確認して依頼するようにしましょう

(3)詐欺の二次被害に気を付ける

最近の詐欺は非常に巧妙です。
詐欺の被害に遭った人を助けるふりをして近づいてきた人が、実は詐欺グループの仲間ということが少なくないのです。

特に、公務員や警察、弁護士を騙ってさらにお金を騙し取ったり、解決金名目で高額のお金を要求するケースもあります。

公務員や警察は直接その当局に連絡をして、名乗ってきた相手が実在するかどうか確かめましょう。

弁護士の場合は、インターネットで弁護士名や登録番号を調べることができるので、その場で検索してみるなどして、成りすましによる二次被害を防ぐようにして下さい。

4.振り込め詐欺被害に遭った場合に知っておくべき救済方法とは

(1)振り込め詐欺救済法とは

詐欺の中でも、振り込め詐欺の被害に遭った場合、「振り込め詐欺救済法」という法律で救済を受けられる可能性があります。

振り込め詐欺救済法とは、詐欺犯人の口座にお金が残っていた場合に、そのお金を「被害回復分配金」として被害者で分け合う手続きについて定めた法律です。

ただ、救済の対象になるかどうかは、次の点に注意が必要です。

  • 詐欺師が口座からお金を出すなど、残高が1000円未満の場合は使えない
  • 詐欺の被害金を現金を渡したり、宅急便で送った場合は使えない
  • 支払いの申請期間内に申請しなかった場合は使えない

(2)振り込め詐欺救済法の手続き

振り込め詐欺救済法で被害金の返金を受ける場合の手続きは、大まかに3段階に分けることができます。

①取引停止

警察と、銀行などの記入期間に詐欺被害を申告して、預金口座の取引を停止してもらいます。

②消滅手続

詐欺の振込先口座など、「犯罪に利用された口座」に認定されると、消滅手続に向けた公告が行われます。

これは、口座の持ち主である詐欺師が、口座に関する権利を失うための手続き(権利の消滅)を目指すための手続きです。

ご自身が振り込んだ口座が犯罪利用口座として登録されているかどうか、預金保険機構のホームページなどで調べましょう。

③支払い手続き

一定期間が過ぎ、詐欺師が権利を失った口座について、期限内に「被害回復分配金支払申請書」「免許証などの本人確認書類」「振り込みした資料」の3つの書類を振込先の金融機関に提出して申請します。

これにより支払額が確定すると、口座に残っていたお金が被害者に支払われ、被害金全額の回収が難しい場合であっても、少しでも返金される手続きになっています。

(3)振り込め詐欺救済法以外の救済方法とは

上記のように、振り込め詐欺救済法では、口座に一定のお金が残っている場合や、被害金を振り込んだ場合に利用できる制度です。

しかし、これに当てはまらない被害者の場合は、諦めるしかないかというとそうではありません。

「被害回復給付金支給制度」という制度が定める要件を満たせば、刑事裁判で財産犯の被害者と認定された人やその相続人などに、被害金を上限として、犯人から没収した金額から還付してくれるという制度があるのです。

裁判で、詐欺師から犯罪で得た財産が剥奪されると、被害金が給付資金となるので、被害者は給付申請を検察官に対して行います。

検察官がこれを確認して、給付金を受け取る資格があると認定されると、裁定書の謄本がどき、手続き終了後に被害回復給付金が支給される流れになっています。

いずれにしても、犯罪の立証などが必要になってくるので、まずは詐欺被害に強い弁護士に相談して、最も適した手続きを取るように進めましょう。

5.詐欺被害の対応に強い弁護士の選び方

(1)弁護士の検索方法

上記でもお話ししましたが、「詐欺事件に強い弁護士」というと、詐欺をした犯人側を弁護する活動をしている弁護士が大半です。

詐欺被害で返金交渉を依頼する場合は「詐欺 被害 弁護士」などのキーワードで検索するなどして、被害者側の立場で活動してくれる弁護士を選びましょう。

ホームページに、詐欺被害の事例が載っている、詳しく解説しているところなどを探して、被害相談や返金対応に応じてくれるか確認することがおすすめです。

また、実際に弁護士が動いてくれるか、実績があるかどうかなどは、まずは法律相談に行って確認をしてから選ぶとよいでしょう。

(2)弁護団を探す

大規模な詐欺事件の場合、弁護団が結成されることがあります。
弁護団とは、弁護士が被害者救済のために任意で結成する団体のことです。

弁護団に頼むと、返金交渉を一括で行ってくれるので、被害者側のやり取りも安心だったり、弁護費用も安く済む場合もあります。

ご自身の事件で弁護団が結成されているかどうかは、新聞などに相談窓口が掲載されることもあるので、新聞やネットで検索をしたり、弁護士会に問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

詐欺の種類の多さや、救済されるのが難しいことも多いこと、弁護士を頼むと有利に進むケースがあることに驚いた方もいるかもしれません。

詐欺の被害に遭って、返金を受けることができるかどうかは、時間との勝負です。

もし、万が一詐欺被害に遭ったと思われた場合は、一刻も早く、詐欺の被害の交渉や返金対応に強い弁護士を探して相談してもらえれば、返金の可能性に少しでも繋げることができるのではないでしょうか。

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