配偶者に借金がある場合、離婚できる?できない?

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結婚生活を何気なく送っていたら、ある日突然借金の督促状が届いた。中を見たら、実は夫には何百万円もの借金があることが分かった。夫に借金があることなんて知らなかったし、もし借金があったことを結婚前に知っていたら夫とは結婚していなかった。

このような経験をされている方は決して少なくない。

では、このような場合、夫の借金を理由に離婚することはできるのだろうか。

今回は、配偶者に借金がある場合に離婚できるのかという点を中心にご説明していきたい。ご参考になれば幸いだ。

目次

1、相手に借金がある場合離婚できる?

2、相手に借金がある場合、離婚したら自分も借金を返さなければならない?

3、相手に借金があっても、離婚したら養育費・慰謝料をもらえる?

1、相手に借金がある場合離婚できる?

結婚相手に借金があることが分かった場合に、離婚できるのだろうか。この点については、協議離婚・調停離婚の場合と、裁判離婚の場合とで結論が異なる。

(1)協議離婚・調停離婚の場合

協議離婚とは、話し合いによる離婚、すなわち、夫婦の話し合いの結果、離婚に合意し、離婚届を提出することによって行う離婚のことを言う。もし離婚をしたいと思った場合には、まずは協議離婚ができないかを話し合うことになるだろう。

この協議離婚の場合には、夫婦の双方が納得の上離婚するので、離婚する理由は問わない。そのため、配偶者の借金を理由に離婚することはできる。ただ、あくまで話し合いの上で夫婦双方の合意が必要になるので、借金を抱えている側が離婚に反対している場合には離婚することはできない

他方、調停離婚とは、離婚の話し合いをしても離婚の合意が得られなかった場合に、家庭裁判所において調停という手続きを通してする離婚のことを言う。調停離婚は、話し合いがまとまらなかった場合だけでなく、そもそも話し合いができない場合でも初めから申し立てることができる。

この調停離婚の場合も、協議離婚の場合と同様、話し合いがまとまれば離婚することができるので、離婚する理由は問わない。そのため、配偶者の借金を理由に離婚することはできる。ただ、協議離婚の場合と同様に、あくまで話し合いの上で夫婦双方の合意が必要になるので、借金を抱えている側が離婚に反対している場合には離婚することはできない。どうしても離婚したいが、相手が離婚に反対しているという場合、離婚裁判をしなければならない。裁判離婚について詳しくは次の「(2)裁判離婚の場合」を参考にして欲しい

(2)裁判離婚の場合

裁判離婚の場合には、民法に規定されている場合にのみ離婚することができる。民法に規定されている離婚事由としては、

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 強度の精神病となり回復の見込みがない
  • 婚姻を継続し難い重大な事由

がある。

以上からお分かりのように、民法には借金をしていたことで離婚できるとは記載されていない。そのため、配偶者が借金をしていたからといって、それだけでは離婚できない。

もっとも、返済の見込みがないのにもかかわらず、無計画に借金を重ねたことによって、家計が破綻し、夫婦関係が上手くいかない状態となり、結果として、夫婦関係が修復不可能なほどに壊れてしまったと言えれば離婚できる可能性がある。なぜなら、そのような状態に至れば、上記の「婚姻を継続し難い重大な事由」という要件が満たされることになるからである。

ただし、例えば借金のうち債務整理が可能な場合(いわゆるサラ金から借金していた場合)で、配偶者が弁護士などに債務整理を依頼して、経済的に更生するとともに、借金を重ねたことについて心底反省しているような場合には、夫婦関係はいまだ破綻しておらず修復可能だという理由で、離婚が認められない場合もあるだろう。

なお、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるか否かは法律の専門家でないと判断が難しいケースが少なくない。もし、ご自身の状況が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかを知りたい方は、弁護士に相談することをおすすめしたい。

2、相手に借金がある場合、離婚したら自分も借金を返さなければならない?

次は、相手に借金があって離婚することになった場合に、自分もその借金を返済しなければならないのかについて説明していきたい。

(1)借金を返済する必要がある場合

①連帯保証人になっている場合

配偶者の連帯保証人になっている場合には、離婚しようとしまいと、借金を返済する必要がある。

②借金が財産分与の対象となる財産に含まれる場合

婚姻中(結婚後離婚するまで)に夫婦が築き上げた財産は共有財産とみなされ、財産分与の対象となる。そして財産分与の対象になるのは預金・不動産などのプラスの財産だけでなく、借金というマイナス財産も含まれる。

もっとも、あらゆる借金が財産分与の対象となるわけではない。例えば、夫婦の一方が結婚前にしていた借金は基本的に財産分与の対象とはならない。財産分与の対象となるのはあくまで夫婦の共有財産と夫婦の共同生活のために負った借金に限られる。

具体的には以下の通りだ。

  • 不足した生活費を補うためにした借金(ここでいう生活費には一般的に必要とされる衣食住の費用の他、医療費や子供の教育費などを含む)
  • 家族で使うために購入した車のローン
  • 家族で居住するために購入した住宅の住宅ローン

などである。

(2)借金を返済する必要がない場合

①結婚する前から配偶者が負っている借金

結婚する前に配偶者が負っていた借金については、連帯保証人になっていたなどの事情がない限りは返済する必要がない。

②財産分与の対象にならない財産

夫婦の一方が自分のためだけにした借金については財産分与の対象とはならない。具体的には、

  • 当該夫婦の収入や生活レベルと比較して明らかに高額な個人的な買い物や浪費のためにした借金
  • ギャンブルのためにした借金

などである。

3、相手に借金があっても、離婚したら養育費・慰謝料をもらえる?

最後に、配偶者に借金があって離婚する場合によくある質問として、「離婚したら養育費・慰謝料をもらえるのでしょうか?」というものが挙げられるので説明していきたい。

(1)養育費

離婚に際して子供を引き取ることになった親権者は、相手方配偶者に対して養育費を請求することができる。離婚をしてもその子供にとって親であることには変わりはないので、子供を育てる義務があり、養育費を支払う義務も当然負うことになる。

よって、離婚した相手が借金を負っていても、養育費を請求することは可能だ。

なかには、借金を理由に離婚する場合には養育費をもらうことができないと思われる方もいらっしゃるかもしれないが、そのようなことはないのでご安心頂きたい。

ただし、養育費の取り決めをしても元配偶者が支払わないケースは少なくない。この点は、借金を理由に離婚した場合であろうと別の理由で離婚した場合であろうと異ならない。このような場合には、通常、元配偶者の給料に対して強制執行(公権力によって強制的に財産を差押えて支払わせること)して回収することになる。そのため、借金がある配偶者からでも、養育費をもらうことはできる。

なお、養育費の相場についてお知りになりたい方は、「できればたくさんもらいたい! 養育費の相場と計算方法」をご覧頂きたい。

(2)慰謝料

婚姻期間中に、配偶者から精神的苦痛または肉体的苦痛を受けていた場合には、慰謝料を配偶者に請求することができる。精神的苦痛を受けていた場合とは、例えば配偶者が浮気をしただとか、配偶者からDVやモラハラを受けた場合などである。

このような事情があれば、離婚した相手が借金を負っていても、慰謝料を請求することは可能だ。

もっとも、仮に慰謝料を請求することができたとしても、裁判上で離婚する場合の慰謝料の金額決定にあたっては借金のある配偶者の資産状態を考慮して慰謝料の金額が定められるので、希望通りの慰謝料を獲得すのは難しいかもしれない。

また、もう一点ご注意頂きたいのは、「借金がある」という理由だけでは基本的に慰謝料請求ができないということだ。

まとめ

今回は配偶者に借金がある場合に離婚できるかどうかについて説明してきたがいかがだっただろうか。今回の話が配偶者の借金を理由に離婚しようか悩まれている方のご参考になれば幸いだ。

 

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